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オフィスの看板・サイン工事|ビル側の承認とデザイン規定の進め方

オフィスの看板・サイン工事|ビル側の承認とデザイン規定の進め方

📅 最終更新:2026.9.9|ライター:小堀恵一(株式会社Lexi/オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営)

この記事を書いた人

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営

東京都立大学経済学部卒業。2009年よりオフィス移転の現場に携わり、リクルート・エムスリー・DeNAなど大手企業の移転を担当。2018年に株式会社Lexiを設立し、不動産デベロッパー向けの物件紹介VR事業を大手各社に導入・定着させたのち事業を売却。物件情報の流通の非効率と情報の非対称性を解消するため、2022年からオフィス移転プラットフォーム「cocosy」を立ち上げ、運営中。3人の子どもの父。

X(旧Twitter):@kobo_lexi

オフィスの看板・サイン工事は、「どんなデザインにするか」より先に、「ビル側の承認をどう通すか」で段取りが決まります。1階の集合サインやエレベーターホール、外壁といった共用部はビルの所有物で、テナントが自由に決められる範囲は思っているより狭いからです。

この記事では、オフィス移転の現場に立つ筆者が、看板・サインの種類と費用感、ビルの「サイン規定(デザイン規定)」で決まっていること、承認申請から施工、退去時の撤去までの進め方を、移転スケジュールに沿って解説します。

エントランスの壁面に取り付けられた企業ロゴのサイン

1. オフィスの看板・サイン工事とは?主な種類と「誰が決めるか」

サイン工事とは、社名やロゴ、案内表示などを製作して取り付ける工事のことです。オフィスの場合、ひとまとめに「看板」と呼んでいても、設置場所によって決定権を持つ人が違います。まずここを整理しておくと、あとの承認手続きがスムーズになります。

種類設置場所誰が決めるか
館銘板・集合サイン(テナント表示板)1階エントランス、エレベーターホールビル側。書式は統一されていて、テナントは社名の表記を申請する
各階案内・フロアサインエレベーターホール、廊下ビル側
入口サイン(室名札・テナントプレート)専有部の入口扉やその横の壁ビルの規定の範囲内でテナントが決める
エントランスのロゴサイン専有部内の受付・壁面テナント。もっとも自由度が高い
ガラス面サイン(カッティングシート)入口のガラス、社内の間仕切り社内側は自由。廊下側から見える面は規定の対象になりやすい
袖看板・外壁看板・屋上看板ビル外壁、屋上ビル側。オフィスビルでは1階店舗以外は原則不可のことが多い
案内サイン・ピクトサイン執務室内、会議室テナント

素材と費用感

サインの費用は、素材と照明の有無でおおよそ決まります。安い順に並べると、カッティングシート(ガラスや壁に貼るシート)、アクリルやアルミの板に印刷したプレート、ステンレスやアクリルの切文字・箱文字(立体的な文字)、LEDを内蔵した内照式サインです。

目安としては、室名札やガラス面のカッティングシートなら数万円、受付のロゴを切文字で作ると数十万円が中心で、照明を組み込むとさらに上がります。ただし、同じ仕様でも取り付ける壁の下地や高所作業の有無で工賃が変わるので、必ず現地調査のうえで見積を取ってください。

2. ビル側の承認が必要な場所と、テナントが自由に決められる場所

判断の軸は「共用部か、専有部か」です。共用部はビルの所有物なので、テナントは決められた書式に沿って申請するだけです。一方、専有部の中は基本的にテナントの自由です。

迷いやすいのがその境目です。入口の扉や、廊下側から見えるガラス面は、図面上は専有部でも「共用部の景観に関わる」として規定の対象になっているビルが多くあります。扉に大きな社名シートを貼るつもりで進めて、申請の段階で不可と言われるケースは珍しくありません。

オフィスビル共用部のエントランスロビーと案内サイン

規定の細かさはビルによって差があります。大手デベロッパーの大規模ビルほど、サイン規定が書面で整っていて制約も細かい傾向です。逆に中小規模のビルでは規定書がなく、「オーナーに口頭で確認する」で済んでしまうこともあります。その場合でも、確認した内容はメールなど書面で残しておくと、退去時の原状回復でもめにくくなります。

3. サイン規定(デザイン規定)で決まっていること

ビルの「サイン規定」や「テナント工事指針」には、おおむね次のような項目が書かれています。デザインを考え始める前に手元に置いておくと、作り直しを防げます。

集合サイン(テナント表示板)

  • フォント、文字サイズ、色はビル全体で統一。テナントが選べるのは表記する社名の文言だけ、というビルが大半です
  • ロゴマークは不可で、社名テキストのみという規定が多い。英字表記や略称の可否も確認が必要です
  • 製作・差し替えはビル指定の業者が行い、費用はテナント負担が一般的です

入口サイン(室名札)

  • 設置位置は「扉の右横、床から○mmの高さ」のように範囲が指定されます
  • 最大サイズ、素材、色(モノトーンに限る、など)、廊下側へ突き出す形の可否
  • 照明付きサインの可否。共用部の電源を使うものは不可のことが多いです

ガラス面・外壁

  • ガラス面に貼れる面積の上限や、透過率(外から中が見えるかどうか)の条件
  • 外壁・袖看板は原則不可、または1階店舗区画のみ可、という扱いが多いです

施工と撤去のルール

  • 作業できる時間帯(夜間・休日のみなど)、工事届の提出、火気や溶接の制限、養生の方法
  • 共用部側の施工がビル指定業者による「B工事」扱いかどうか。B工事の場合、相見積が取れないので費用は高めになりがちです(詳しくはオフィスのB工事とは?A工事・C工事との違いで解説しています)
  • 退去時は撤去と取り付け穴の補修まで原状回復の範囲に含まれます

4. 承認から施工までの進め方(移転スケジュールに沿って)

サイン工事で一番多い失敗は、「内装工事の最後に考え始めて、承認が入居日に間に合わない」ことです。次の順番で、内装の打ち合わせと並行して進めてください。

① 契約前〜契約時:規定書を入手し、実物を見る

内見の時点で、1階の集合サインと他テナントの入口サインを見ておきます。他社がどう表記しているかが、そのビルの規定のいちばん分かりやすい実例です。契約時には「テナント工事区分表」「工事指針(工事細則)」「サイン規定」の3点をもらいます。cocosyのように、オーナーや管理会社に直接質問できる物件なら、この段階で「入口にロゴを出せるか」「ガラス面に社名を貼れるか」を聞いておくと、あとの手戻りがありません。

② 入居2〜3ヶ月前:デザイン案を作る

内装会社かサイン専門業者にデザインを依頼します。このとき、規定書をそのまま渡すのがポイントです。「ロゴ不可」「モノトーン限定」といった制約を最初に共有しておけば、規定に合わない案を作ってしまう無駄がなくなります。なお、内装工事の見積にサインが含まれていないことはよくあります。誰が担当するのかを、この時点で決めておいてください。

③ 入居1.5〜2ヶ月前:ビルへ申請する

設置位置を示した図面、正面から見た立面図、素材や色の仕様書、必要なら色見本をそろえて、管理会社またはオーナーへ提出します。承認までの期間は1〜3週間が目安ですが、大規模ビルでは月に1回の審査会でまとめて判断されることもあり、タイミングを逃すとひと月遅れます。集合サインの社名表記の申請も同時に済ませます。

④ 承認後:製作する

製作期間は2〜4週間が目安です。切文字やLED内照式は長めにかかります。B工事扱いの部分は、ビル指定業者に早めに見積を依頼してください。

⑤ 入居直前:取り付ける

工事届の提出、搬入経路とエレベーターの使用予約、作業時間帯の確認をしたうえで施工します。集合サインの差し替え日は入居日に合わせて依頼しておくと、初日に「社名がない」という事態を防げます。

テナントの入口扉に掲げられた室名札(テナントプレート)

⑥ 退去時:撤去と表記の削除

サインの撤去と取り付け跡の補修は、原状回復工事の一部です。集合サインからの社名削除も、ビル側の手続きが必要になります。旧オフィスと新オフィスの両方で申請が発生するので、移転のタスク表に両方書いておきましょう。原状回復の全体像はオフィスの原状回復とは?費用相場・工期・範囲で解説しています。

5. 失敗しやすいポイントのチェックリスト

  • 集合サインの社名表記を申請し忘れて、入居日にエントランスに社名が出ていない
  • コーポレートカラーがビル規定で使えず、入口サインを作り直した
  • 入口扉のガラス面に全面のシートを貼る計画が、透過率の規定で不可になった
  • 廊下側のサインを自社の業者で勝手に取り付けて、撤去を求められた
  • 内装会社の見積にサインが入っておらず、着工後に別途の費用と工期が発生した
  • 退去時の撤去・補修費用を予算に入れていなかった
  • 旧オフィス側の集合サインの表記削除を忘れていた

どれも「規定書を早く手に入れ、申請を早く出す」ことで防げるものです。サイン工事そのものの難しさより、段取りの問題だと考えてください。

看板・サインの自由度は、ビルの規定によって大きく変わります
cocosyなら気になった区画について、オーナーへ直接質問できます。契約前にサイン規定と工事区分を確認しておきましょう。

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まとめ

オフィスの看板・サイン工事は、共用部はビルの書式に沿って申請し、専有部の中は自由に設計する、という二層構造で考えると整理できます。境目にある入口扉やガラス面は規定の対象になりやすいので、契約時にサイン規定と工事区分表を入手し、他テナントの実例を見て、入居2ヶ月前までには申請を出す。この段取りさえ守れば、デザインの検討に時間を使えます。

よくある質問

オフィスの看板・サイン工事の費用はどのくらいかかりますか?

素材と照明の有無で大きく変わります。室名札やガラス面のカッティングシートなら数万円、受付の切文字ロゴは数十万円が中心で、LED内照式はさらに上がります。壁の下地や高所作業の有無で工賃も変わるため、現地調査のうえで見積を取ってください。

ビル側の承認にはどのくらい時間がかかりますか?

申請から1〜3週間が目安です。ただし大規模ビルでは月に1回の審査会でまとめて判断されることがあり、提出のタイミングを逃すとひと月遅れます。製作期間の2〜4週間も含めて、入居の2ヶ月前までに申請を出すのが安全です。

1階の集合サインに自社のロゴを入れられますか?

多くのオフィスビルでは、集合サインはフォントと色が統一された社名テキストのみで、ロゴマークは入れられません。ロゴを見せたい場合は、専有部の入口サインや受付のロゴサインで表現するのが一般的です。ビルによって扱いが違うので、内見時に他テナントの表記を確認してください。

退去するとき、取り付けたサインはどうなりますか?

テナントが取り付けたサインは、撤去と取り付け穴の補修まで含めて原状回復の対象です。集合サインの社名削除もビル側の手続きが必要になります。費用と手続きの両方を、移転のタスク表と予算に最初から入れておいてください。

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