新しいオフィス什器を導入することで、業務効率の向上やオフィスコンセプトの統一などを目指せるため、多くの企業がオフィス移転のタイミングで入れ替えを検討します。
しかしオフィス什器は非常に種類が多く、自社に合った製品選びに苦戦することもしばしば。さらにすべてを新品で揃えると費用がかさむため、どのようにコストを抑えるかも大きな問題になります。
そこで今回は、オフィス移転時にコストを抑えながら自社にぴったりな什器を選ぶポイントを紹介します。什器を交換する際に気を付けたい廃棄処分の方法についても合わせて知っておきましょう。
オフィス内で必要な什器にはさまざまな種類があり、まずは自社に必要な什器は何か・どれを残してどれを入れ替えるべきか・新しく購入が必要な什器はあるかを整理する必要があります。
いきなりオフィス全体で考え始めず、まずは場所ごとに分け、さらに社員の人数分必要なものとそうでないものを分けて考えるとスムーズです。
ワークスペースでは、社員の人数に合わせて準備すべきものと数を絞って準備できるものに分けられます。
人数分必要なもの | 什器 | ・デスク・サイトキャビネット・椅子 |
OA機器 | ・パソコン・ディスプレイ・キーボード・マウス・電話機 | |
数を絞れるもの | 什器 | ・パーテーション・ホワイトボード・キャビネット、棚、収納ボックス・金庫・傘立て・ハンガーラック・ゴミ箱 |
OA機器 | ・コピー機・Wi-Fiルーター |
会議室や応接室は一度に複数人で使用することを前提としているため、議論やプレゼンテーションに必要な什器を揃えます。
什器 | ・テーブル・椅子・ホワイトボード |
OA機器 | ・プロジェクター・電話機・Wi-Fiルーター |
エントランス部分に何を置くかは、来客の頻度や人数によっても異なります。
来客のほとんどが商談で、すぐに会議室に案内する機会が多い場合であれば、受付機の横に椅子やソファを置くだけで足りるでしょう。一方面接や説明会などを開く機会が多い場合は、エントランス横の待合室に、テーブルや椅子を準備しておく必要があるかもしれません。
什器 | ・来客用テーブル・椅子、ソファ |
OA機器 | ・受付用電話 |
作業時間と休憩時間にメリハリを持たせ作業効率を上げるために、リフレッシュスペースを充実させるのもおすすめです。
自動販売機のほか、近年では飲み物や軽食を気軽に購入できるシステムを導入している企業も多いですが、社員が個人的に持ってきたお弁当などを保存できる冷蔵庫や棚があると便利です。
オフィス移転時の什器の選定を無計画に行ってしまうと、無駄な支出が発生しオフィスの利便性を上げることも難しくなるため、下記の3つに注意して選ぶようにしましょう。
どのような什器を導入するかを決める前に、まずは移転先のオフィスの詳細な情報を知っておく必要があります。
移転先のオフィス環境を快適なものにするには、部屋の広さや形に合った什器を選ぶことが非常に重要です。特に幅の広いデスクや背の高い棚を設置する予定がある場合、寸法を無視して搬入してしまうと、十分な通路が確保できなかったり梁に引っかかって設置できなかったりする可能性があります。
そのため移転先のオフィスが決まったら、室内の縦横の寸法やドアの幅、窓が位置する高さや天井の梁の位置など、できるかぎり詳細な寸法が入った図面を取り寄せるようにしましょう。仲介に入る不動産会社に要望することで取り寄せることが可能ですが、担当者によってはなかなか対応してもらえず取得までに時間がかかるケースもあるため、早めに問い合わせることをおすすめします。
またオフィス移転の際には、不動産会社に仲介に入ってもらう方法のほかに、ビルのオーナーと直接交渉・契約できる【cocosy】であれば不動産会社を経由しないため、仲介手数料が一切かからず慌ただしいオフィス移転をスムーズに進められます。
移転を機にオフィスのコンセプトを再設定したり、オフィス内をリノベーションして自社の雰囲気に合った内装を取り入れたりする企業も多いでしょう。壁や床の仕様や素材・色にこだわってオフィスのイメージを作り上げていきますが、そこに置く什器もオフィスの一部として考えることで、オフィス全体に統一感を持たせることが可能になります。
ひとくちに「デスク」と言っても、使用する人の職種や業種によってぴったりのデスクは異なります。
たとえば毎日多くの書類を取り扱う仕事をしている人であれば、大きな引き出しがあって収納力が高いデスクがあっているでしょうし、図面を描く職種であれば一般的な事務机よりも大きなサイズのデスクが櫃相になるでしょう。
オフィス全体の雰囲気やデザイン性も重要ですが、「誰がどのようなときに使用するのか」を考慮して選びましょう。
オフィスの移転は物件の契約にかかる費用や、引っ越し費用などといった大きな支出が伴うため、コストをかけずに什器を揃える方法を知っておくといいでしょう。
オフィス什器には新品を購入したほうがいいものと中古でも問題なく使用できるもの、そしてリースやレンタルを利用できるものの3つのパターンがあります。すべてを新品で揃えると膨らみがちな什器代も、上手に分類すればかなりのコストダウンにつながるでしょう。
新品を購入したほうがいい什器には下記のようなものが含まれます。
PCのハードディスクなど | 高い性能が求められ、不具合が生じた際の製品サポートに有効期限があるものは、古いまま使用しているとすぐに故障したり、修理の対象外になったりする。 |
耐火金庫など | セキュリティーに係わるものは、前の所有者が合い鍵を作っている可能性も否定できないため、新しいものを準備したほうが安心。 |
来客の椅子や机 | 訪問客が目にするところは企業の第一印象に係わるため、新しくきれいなものを準備する。 |
上記のほか、給湯廻りや空気清浄機といったオフィスの衛生面にかかわる部分、旧オフィスで使い古して破損してしまったもの・汚れが目立つものについても、買い替えを検討したほうがいいと言えます。
旧オフィスで使用していたものをそのまま使用したり、中古で購入したりしても問題ないオフィス什器のポイントは、「オフィス全体で使用するもの」と「新品のような清潔さが必要ないもの」が挙げられます。
デスクやパーテーション・棚などはオフィス全体で使用し、基本的に社員の目に触れる場所のみに設置する什器のため、あえて新品を購入しなくても問題ないでしょう。
また掃除機や傘立てについては、新しいものを購入してもすぐに汚れてしまい、新品のきれいな状態を保つことはほぼ不可能です。気になる汚れを拭き取れば使用できるようなものについても、破損がなければ旧オフィスで使用していたものを持って行けば足ります。
オフィス什器の中で購入費用が高額なものや、サイズが大きい下記のようなものに関しては、リースやレンタル・サブスクリプションサービスを利用するというのも1つの選択肢です。
・電話機
・コピー機
・Wi-Fiルーター
・自動販売機
特に広いオフィスに何台も設置する必要がある場合、購入するよりもリースを利用したほうがコストを抑えられるうえ、機器の調子が悪いときにすぐにサポートを受けられるというメリットもあります。
ここまでは自社で所有している什器を再利用したり、新しく購入・リースしたりする案を紹介しましたが、さらにコストを抑えてオフィス移転をしたい場合には「居抜物件」を探すという方法もあります。
「居抜物件」とは、前の入居者が室内に施した内装や使用していた什器・備品をそのまま貸し出す物件のこと。通常はオフィスを借りたのちに、パーテーションの工事や什器の搬入を行いますが、居抜物件の場合はすでにそれらが揃った状態で契約するので、期間を明けずに業務を開始でき、工事費用や什器の購入費用も抑えることが可能です。
ただし残っている什器の状態があまりよくないケースがあるのに加えて、解約に原状回復工事の義務がある場合もあるため、慎重に見極める必要があるということは押さえておきましょう。
オフィス移転時に不要になった什器は通常の粗大ゴミとしてではなく、「事業系一般廃棄物」または「産業廃棄物」として処分しなければなりません。
不要になった什器の廃棄方法は、大きく分けて下記の5つです。
・回収業者に依頼する 什器処分に必要な、不用品の積み込みと運搬・処分手続きなどをすべてまとめて依頼できる方法。回収業者側でリサイクルできるもの・できないものを分けて処分してもらえ、ほとんどの什器備品が回収対象になる。
・自治体に依頼する 有料粗大ごみ券を購入し、指定場所に運搬することで回収してもらえる。回収業者よりも安く不用品を処分できるが、自治体によっては回収できないものもある。
・自分で処理場に運ぶ 依頼するのが中小企業で、なおかつ1つあたりが大きさ30cm以下・重さ10㎏以下の場合に利用可能。1kgごとの手数料が発生する。
・買取業者に依頼する オフィス什器買取専門の業者に一部でも買い取ってもらえれば、処分にかかるトータルの費用を抑えられる。出張買取を利用すればオフィスまで引き取りに来てもらえる。
・引っ越し業者やオフィス家具購入業者に依頼する 引っ越し業者やオフィス購入業者の中には、什器の購入や運搬と合わせて有料で不用品の回収を行っている業者もある。
処分にかかる費用は自治体や業者によっても異なるため、早めに見積もりをとるなどして比較することをおすすめします。
オフィス什器を処分する際に特に気を付けたいのは、違法業者の利用と情報漏えいです。
不用品の回収業者の中には、回収した什器を適切な方法で処分しない違法業者も紛れ込んでいます。利用してしまった場合には、刑事罰及び最高3億円以下の罰金が科されることもあります。
また社内の機密情報や個人情報を含むパソコンなどを処分する場合には、「消去証明書」を発行してもらえる業者を選ぶことも重要です。
回収費用の安さを売りにしている業者は、常習的に不法投棄を行っている場合や情報の取り扱いが適切でない場合もあるため、多少料金が高いと感じられたとしても、信頼のできる業者を利用することが重要です。
オフィス什器の入れ替えは多額の費用がかかるため、新品に加えて中古やリース・レンタルも上手に活用し、さらに廃棄処分を依頼する業者も慎重に選定することで、オフィス移転にかかるコストをカットできます。
オフィス移転費用を抑える工夫をすることで、優秀な人材確保や広報活動などに力を注げるため、スピード感のある事業拡大や企業の成長に繋げられます。契約時の仲介手数料がかからない【cocosy】を活用した移転先探しもコストカットの強い味方。物件オーナーと上手に連携をとりながら、賢くオフィス移転を進めましょう。