働き方の多様化やグローバル化により、オフィスのリニューアルや移転と合わせて会議室のあり方を見直す企業が増えています。効率よく議論を行うためには、会議タイプに合わせたデザインやレイアウトを選択することが重要です。
特にオフィスの移転時は、自社に合った会議室を導入するチャンスでもあります。近年の会議室のトレンドを知り、目的に合わせた会議室を取り入れましょう。
せっかくオフィスを移転するのであれば、トレンドのデザインやレイアウトを取り入れたいという企業も多いでしょう。
近年人気なのは、壁の一部をガラス張りにした会議室です。
これまで会議室のスタイルとして主流だったのは、全面を壁で囲った窓のない一角でした。重要な情報が外に漏れないという利点こそありますが、壁に覆われていることにより圧迫感を覚えやすく、意見交換が活発になりにくいという点はデメリットでもあります。
壁の一部をガラス張りにするとそうした圧迫感から解放されるため、新しいアイディアが生まれたり、効率よく議論できたりするようになるのです。
また、会議室の内装はシンプルなものが好まれます。オフィスのリノベーションの際に、作業スペースや休憩スペースをおしゃれに装飾する企業は多いですが、同じデザインを会議室にも取り入れてしまうと、参加者の集中力の妨げになる可能性があります。
モノトーンを基調にしたり、使用するオフィス家具もシンプルなものを選んだりと、議論に集中できるように配慮することが大切です。
閉鎖的な空間というイメージが強かった会議室も、ビジネスモデルや働き方の多様化を背景に、個室にとらわれないバリエーションが生まれています。
社内のオープンスペースで会議を行う光景は、すでにあらゆるオフィスで見られるようになりました。
開放的な環境を設けることで、リラックスしながらカジュアルに意見交換を行える場を作ることが可能です。
1つのテーブルをソファと椅子で囲むタイプのオープン会議室が主流で、打ち合わせ以外にも個人の作業スペースとしても使用できる柔軟性の高さも持ち合わせています。
社内の会議では機密情報を取り扱うことも多いため、個室の形をしたクローズスペースの会議室も必要です。
従来の会議室では、ブラックやホワイト、グレーといったモノトーンを基調にした、いわゆる「オフィス家具」が使われることがほとんどでした。しかし近年では、会議室もおしゃれなデザインを採用する企業が増えており、閉ざされた空間でもリラックスして意見交換ができるような環境づくりが好まれる傾向にあります。
近年目立って増加しているのが、立ったまま会議を行う「スタンディングミーティング」です。
思い立ったときに手軽にミーティングを始められるため、社員同士のコミュニケーションの機会が増え、カジュアルに意見交換ができるという点がメリットと言えます。
スタンディングミーティングは椅子を必要としないため、ハイチェアのみを設置する企業も少なくありません。
「ハドルルーム」とは小会議室よりも小さい「ミニ会議室」のことで、2〜3人程度で使用できるスペースを指します。一部の社員だけで重要な決めごとをしたい場合に、小会議室よりも気軽に利用できるという点がメリットです。
ハドルルームのレイアウトは業種によっても異なり、一般的な会議室のようにテーブルに椅子を置く場合もあれば、椅子だけを設置するケースもあります。
会議室のあり方が多様化していることもあり、室内のレイアウトにも企業ごとの個性が見られるようになってきました。オフィス移転時は自社に合わせた会議室を導入するチャンスでもありますが、まずは基本となるレイアウト形式の種類を押さえておきましょう。
横長のテーブルを中心に向かい合う形で着席するレイアウトを「対面形式」と呼び、参加者が横一列に座り、お互いの顔を見ながら討論できるのが特徴です。
横一列に並んで座ることで、立場や役職を問わず対等な立場から発言しやすくなるため、活発な議論や意見交換が求められる場合に有効です。
「口(くち)の字形式」は、横長のテーブルを漢字の口のように配置するレイアウト形式。参加者全員がお互いの顔を見渡せるため、適度な距離感と緊張感を持ちながら討論できるという特徴があります。
この形式が多く採用されるのは、国際的な会議や組織の重役会議などです。
企画会議やプレゼンテーションのように、参加者の前にスクリーンなどで資料を掲げながら進行する会議に適しているのが、「コの字形式」のレイアウトです。
横長のテーブルをカタカナの「コ」の形に並べ、空いている中央スペースに、会議の資料や映像・画像を見られるものを設置します。
参加者同士が顔を見て議論するよりも、プロジェクトの進行状況を把握したり、プレゼンテーションを見たりといった、一度受け取った情報を各自で咀嚼し、それに対して意見を述べる・アイディアを出すことが求められる場面に適しています。
「スクール形式」や「シアター形式」と呼ばれるレイアウトは、参加者全員が正面を向くように配置する形です。スクール形式ではテーブルと椅子を配置することで手元資料などを見やすくし、シアター形式では椅子のみを配置することで狭いスペースに多くの人数を収容します。
参加者が顔を見合わせるような配置ではないため、ディスカッションをするような場面には不向きですが、スクリーンに資料や映像を投影したり、登壇者の講義を聞いたりと、テーマに集中しやすいという特徴があります。
執務室とは別に会議室を設ける場合であれば、上記で紹介したレイアウトを採用するのが一般的ですが、近年ではもっと気軽に会議を行えるように「会議室」という部屋を特別に設けず、執務室の一部に「ミーティングスペース」を受けることもあります。
会議室の利用方法を事前予約制としている企業も多くありますが、会議室とは別にミーティングスペースを作っておくことで、会議室が埋まってしまっている場合や、短い時間で打ち合わせをしたい場合など、突発的な利用にも対応できるという点がメリットです。
オフィスのレイアウトを検討する際に悩みやすいポイントのひとつに、会議室の広さがあります。広すぎても有効活用できませんし、狭すぎても活発な議論が生まれないため、利用する人数に合わせた面積を確保することが重要です。
4〜6人程度で使用する小会議室であれば、対面形式のレイアウトを採用するのが一般的です。
対面式の会議室では、圧迫感なく使用できる必要な寸法は、4人用であれば6㎡、6人であれば14.5㎡程度が一般的と言われています。
小会議室は面積が狭い分閉塞感を感じやすいため、通路スペースや動作スペースを十分に確保できるように注意しましょう。
10名前後で使用する中規模会議室の場合は、24〜30㎡程度で設営できます。対面方式だけでなく、コの字形式や口の字形式、スクール形式で使用してもいいでしょう。
この規模の会議室内をレイアウトする際は、座席の後ろに人が通るのに十分な幅を持たせることと、入り口付近を広く保つことが重要です。入り口付近を広くとる理由は、普段から人がスムーズに出入りできるようにしておくほか、避難時に人が殺到しないようにする目的もあります。
30人程度で使用する大会議室には、120㎡程度の面積が必要になります。この規模になると、議論よりもセミナーや講演会での使用頻度が高くなるため、スクール形式・シアター形式が多く採用されます。
スクール形式では1つのテーブルに複数人着席するため、動員人数を想定してデスク幅を決めるようにしましょう。
近年、オフィス移転と合わせて会議室にユニークな名前を付ける企業が増えているということをご存知でしょうか?
欧米で主流になっているこの取り組みは日本でも増えてきており、オフィス移転を機に取り入れる企業が多くみられます。
会議室にユニークな名前をつけることには大きくわけて3つのメリットがあります。1つずつ見ていきましょう。
ユニークなネーミングは、なによりインパクトがあり記憶に残りやすいという特徴があります。
これまでの会議室には、数字やアルファベットを用いたネーミングが採用されるケースがほとんどでした。しかし人間というものは、ただの記号や数字の羅列を覚えることは苦手です。「会議室3番で」と言われても、すぐに場所を思い出せないという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
一方会議室に具体的な名前がついていると、それだけで部屋の識別がしやすくなります。ネーミングだけでなく、イメージカラーやプレートのデザインにも統一性を持たせることで、会議室をより印象的な空間に作り上げることが可能です。
オフィスのデザインやコンセプトに合わせた名前を会議室につけることで、企業文化や風土を社内に浸透させるツールにもなります。
社員間で会議室の名前を口に出す機会が多いと、企業が目指す考え方に触れる回数が増えることに繋がります。自分がどのような企業理念のもとで働いているのか、自分はその理念のために何ができるのか、と自然と思いを巡らせられる環境を作ることで、企業の成長のための自発的な行動にも期待できるでしょう。
会議室のネーミングは、従業員だけでなく社外に対してのアピールになるというのも重要なポイントです。
例えば会議室の名前を自社製品の名前にしてみたり、自社の風土に合った名前にしてみたりすると、取引先が来社した際の話題作りになります。社外の人の目に触れることでブランディングの向上にも役立つため、会議室も営業ツールとして活用できるのです。
これまでは単なる「議論の場」としてのイメージが強かった会議室ですが、企業理念やオフィスのコンセプトを反映させたり、社員同士に気軽な意見交換の場を提供したりと、さまざまな役割を担うようになってきました。
企業独自の会議室を作るには、企業が目指す方向性やイメージ戦略に合った物件を見つけることが重要です。
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