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賃貸オフィスのRC造とは?耐震性や防音性を他の構造と比較

賃貸オフィスのRC造とは?耐震性や防音性を他の構造と比較

オフィスビルの構造は外観から判断することが難しく、物件を選ぶ際にあまり重要視していないという企業も少なくありません。しかし構造によってビル自体の耐久性・耐火性・防音性が異なり、さらには毎月支払う賃料も変動するため、何も知らずに物件を契約すると損をしてしまう可能性もあります。

本記事ではオフィスビルに見られる建物の構造の種類のなかでも、「RC造(鉄筋コンクリート造)」に焦点を当て、ほかの構造と比較した際のメリット・デメリットと、移転先オフィスを選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

1 オフィスビルの構造の種類

まずはオフィスビルに見られる構造のうち、「RC造」「SRC造」「S造」がそれぞれどのようなものなのかを見ていきましょう。

1-1 RC造

RC造は「Reinforced Concreate」の頭文字をとった略称で、日本語では「鉄筋コンクリート造」と呼びます。

鉄筋で作られた枠型にコンクリートを流し込んで造られる構造で、つまりは「コンクリートを鉄筋で補強したもの」です。鉄筋コンクリート造には「壁式(かべしき)構造」と「ラーメン構造」の2つの種類があり、それぞれ下記のような違いがあります。

1-1-1 壁式(かべしき)構造

壁式構造は、4枚の壁・床・天井という6枚の面で空間を構成する構造です。後述する「ラーメン構造」よりも地震に強い構造で、阪神淡路大震災の際も壁式構造の建物は倒壊・崩壊の被害がほとんどなかったと言われています。

建物を支えるために柱や梁が必要ないため、室内に広くすっきりした空間を持たせることができます。そのためレイアウトの自由度が高く、見通しのいい広々としたオフィスを作ることが可能です。

ただし室内に作る壁自体で建物を支えているという特徴から、リフォーム時に撤去したり移動させたりすることはできません。

1-1-2 ラーメン構造

柱と梁で造ったフレームで建物を支える構造が「ラーメン構造」です。6枚の壁で空間を作る「壁式構造」とは異なり室内に重さのある壁を造らないため、リフォーム時に壁を撤去して間取りを変更できるという自由度の高さが魅力です。

一方で室内に柱や梁が張り出した仕上がりになるため、大きな家具を置いたりリフォームをかけたりする際は、図面に記載されている面積や部屋の形だけを見ず、必ず現地を入念に確認する必要があります。

1-1-3 「壁式構造」と「ラーメン構造」の見分け方

不動産会社やビルオーナーから提供される物件資料には、RC造であることが記載されていても、壁式構造なのかラーメン構造なのかは記載されていないことがほとんどです。

どちらの構造で建てられたビルかを判断するには、まずは間取り図を見ます。先述のとおり、ラーメン構造の場合は室内に柱が飛び出た仕上がりになり、逆に壁式構造はすっきりとした仕上がりになります。

1-2 SRC造

「SRC造」は「Steel Reinforced Concrete」の頭文字をとった呼び方で、日本語では「鉄骨鉄筋コンクリート造」と言います。

まず鉄骨で骨組みを造り、その周りに鉄筋を張り巡らせてからコンクリートを流し込んで造ります。RC造に鉄骨が加わっていることから、より高い耐震性と耐火性を備えた建物を建てることが可能です。

オフィスビルの中でも特に耐久性に優れており、適切なメンテナンスを定期的におこなうことで100年以上持つとも言われています。オフィスビルを比較する中で築年数の古い物件が候補に入る場合は、SRC造かどうかに着目してみるといいでしょう。

1-3 S造

「S造」は鉄骨造のことを指し、鉄製の柱や梁を溶接やボルトにより固定し、耐火被覆(建物に必要な耐火性能を持たせるための工事)を施すのが一般的です。使用する鋼材の厚さにより「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類があり、オフィスビルでは基本的に「重量鉄骨造」が採用されます。

S造はRC造やSRC造のビルと比較して賃料が安い傾向にありますが、耐火性や防音性に関しては劣るという点がデメリットです。 

2 RC造オフィスのメリットとデメリット

オフィスビルは構造ごとに使用されている建材や工法が異なるため、移転先のオフィスを選ぶ際はそれぞれのメリットとデメリットを知っておくことが重要です。

本章ではRC造(鉄筋コンクリート造)のオフィスビルに見られるメリットとデメリットについて、詳しく解説します。 

2-1 RC造オフィスのメリット

RC造のオフィスビルのメリットは、大きく分けて下記の3つが挙げられます。

2-1-1 耐震性が高い

縦横さまざまな方向への揺れが発生する地震発生時には、建物の主要構造部にもあらゆる方向から強い負担が加わります。建物を支える柱や梁に対して、引き伸ばす力(引張力)や押しつぶす力(圧縮力)が瞬時に繰り返し作用するため、どちらの力に対しても高い耐性を備えた建物こそ、耐震性の高い建物だと言えます。

その点RC造は、引張力に強い特性を持つ鉄筋と、圧縮力に強い特性を持つコンクリートを組み合わせることで、オフィスビルの耐震性を向上させることを可能にしています。

2-1-2 耐火性に優れている

RC造のメリットの2つ目は耐火性の高さが挙げられます。金属である鉄筋は直接火にさらされると、燃えてしまうことこそないにしろ、著しく強度が下がってしまうという弱点を持っています。RC造では熱に弱い鉄筋を、高い耐火性能を持つコンクリ―トで覆うことで守っています。

火災が発生すると建物の外壁温度は1,000℃にも達すると言われていますが、それほどまでに温度が上昇し高温状態が続いた場合であっても、鉄筋がコンクリートを覆っていることにより強度を保ち続けることを可能にしているのです。

2-1-3 防音性が高い

コンクリートは密度が高いため遮音性が高いという特徴を持ちます。RC造では遮音性の高いコンクリートを隙間ができないように流し込んで造り上げるため、ほかの構造と比較して防音性の高い建物が完成するのです。

またひとことに「音」と言っても、高い音から低い音までさまざまな生活音・騒音があります。コンクリートは幅広い周波数帯をカットしてくれるため、快適なオフィス環境を作れる点が魅力です。

2-2 デメリット

RC造のデメリットとしては、賃料が高い点・結露が発生しやすい点が挙げられます。

2-2-1 賃料が高い

RC造は建築の際の作業工程が大掛かりでかつ建築材料も多く必要になることから、建築費用が高額になる傾向にあります。高額な建築費用はその分が賃料に反映されることになるため、比較的賃料がリーズナブルなS造と比較すると賃料が高くなりがちです。

もちろん鉄骨と鉄筋の両方を使用するSRC造と比較すると安価ではありますが、構造によって賃料に差が出るという点は押さえておきましょう。

2-2-2 結露が発生しやすい

コンクリートを使用したRC造の建物は、気密性の高さから空調効率が高いというメリットがある一方で、ほかのビル構造と比較して結露が発生しやすいという欠点があります。

築年数の浅いオフィスビルであれば24時間換気システムの導入により、自動的に換気がおこなわれる場合もありますが、意識的に換気をおこなわないと結露が発生し、カビの原因になる可能性もあるため注意が必要です。

3 オフィスの構造を選ぶ際のポイント

移転先のオフィスの構造を選ぶ際、耐震性や耐火性に着目するケースがほとんどですが、ほかにも意識したいポイントがあります。

3-1 月額賃料が適切か

RC造はS造のオフィスと比較して工事費用が高額です。さらにビルを建設する際に地盤強化工事などがおこなわれている場合、さらにビルの完成に高額な費用がかかっており、ほかの構造のビルと比較して賃料が高くなるケースも少なくありません。

そのため移転先オフィスを選ぶ際には、単に賃料が高いか安いか・構造がRC造かSRC造かだけでなく、相場からかけ離れておらず適切に設定されているかに着目することが重要です。

3-2 十分な防音性を確保できるか

RC造の建物は防音性が高いということは先述のとおりですが、実際に業務をおこなう際に必要な防音性を確保できるかは意識する必要があります。

というのも、防音性という観点ではRC造よりもSRC造のほうが優れており、業種や就業時間帯によってはSRC造のほうが適している場合もあるのです。

特に一度に複数台の電話で着信を受ける業種や、特殊な音を発する機器を使用する業種などは、防音性を確認せずにオフィスを契約してしまうと周辺のテナントとのトラブルに発展しかねません。

オフィスビルの構造を選ぶ際には、自社の事業内容に対して十分な防音性を確保できるかどうかを必ず確認しましょう。

3-3 結露対策はできるか

気密性が高く結露が発生しやすいRC造のオフィスビルを検討する際は、結露を防ぐための対策がおこなわれているかも重要なポイントです。

窓の位置や大きさ、ロスナイ(自動換気装置)の有無を確認し、日ごろから適切に換気や除湿ができる物件かどうかを比較しましょう。

4 契約前にオフィスの構造を確認する方法

移転先の候補になっている物件の構造や、どの工法で建てられたビルか確認する方法は大きく分けて2つあります。1つは仲介を依頼している不動産会社に問い合わせる方法、もう1つはビルオーナーに直接問い合わせる方法です。

4-1 不動産会社に問い合わせる

不動産会社に依頼して移転先のオフィスを探している場合は、不動産会社の営業担当者に問い合わせるのが最も早い方法です。

多くの場合は不動産会社から送られてくる物件資料に記載されていますが、記載されていない場合や見方がわからない場合、RC造で壁式構造とラーメン式構造の区別がつかない場合などは、不動産会社に問い合わせることで正確な情報を教えてもらえます。

4-2 オーナーに直接問い合わせる

不動産会社に依頼せずビルオーナーと直接やりとりができる場合には、ビルオーナーに問い合わせるのが確実な方法です。

ビルオーナーであればビルの竣工年月日や構造が記載されている登記簿謄本を所有しています。また竣工図や配線図などといった詳細な図面を所有していることも多く、移転先のオフィスに内装工事を施す予定の企業にとっては、工事に必要な情報を一度に得られるというメリットがあります。

ただし、たとえビルオーナーの連絡先が分かっている状態であっても、間に不動産会社が入って内見や契約内容の調整をおこなっている場合、直接ビルオーナーに連絡することはルール違反です。不動産会社から提案された物件に関しては、必ず不動産会社を通じて情報を取得するようにしましょう。

5 【cocosy】ならビルオーナーと直接やりとりが可能

オフィス探しの新しいプラットフォームである【cocosy】は、不動産会社を利用せずにビルオーナーに直接物件の問い合わせができることが特徴です。

ビルの構造や設備だけでなく、入居中のテナントや周辺環境についてもチャットを通じて確認できるので、オフィス移転をスムーズに進められるという点が支持されています。

移転先オフィスの選定時には、ビルの構造や設備状況の確認以外にも、さまざまな場面でビルオーナーとのやりとりが発生します。希望に合ったオフィスに出会うために、【cocosy】を活用してみてはいかがでしょうか。

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