「アークヒルズ」「六本木ヒルズ」、そして「虎ノ門ヒルズ」。誰もが聞いたことのある街の名称でしょう。このうち、虎ノ門ヒルズは、約10年前にできて以来エリア自体が更新され続けている注目のエリア。実は大企業だけではなく、スタートアップなど多様なプレイヤーに適した街です。
今回は、そんな虎ノ門エリアで都市づくりの視野を持って開発してきた森ビルさんに、虎ノ門ヒルズ 森タワーを中心に、街の魅力について伺いました。ご案内してくださったのは、営業本部オフィス営業2部の川出さん、八巻さんのお二人です。
まずは、都内某所にある一般非公開の「森ビルアーバンラボ」を特別にご案内いただきました。この施設は、これからの東京のありかたや、森ビルが今後行っていく再開発等をより戦略的に考え、広く議論するためにつくられたようです。真っ白な空間から部屋に入ります。すると……
迫力ある都市模型が出迎えてくれました!東京都23区の3分の1の面積を1000分の1縮尺で模型にしたものなのだそう。
ウェルカムムービーを見たあとは、東京の特徴について、海岸線や緑地面積、交通・アクセスなど、様々な視点から教えていただきました。
こちらが森ビルの戦略エリア。このあとで見学させていただいた虎ノ門エリアは、緑の点線で囲まれたエリアのうち右側に見える部分です。
1955年より、西新橋から都市づくりに取り組んできた森ビル。今では「~ヒルズ」のブランドで知られていますが、当初は「25森ビル」「30森ビル」のように番号でビル名を付けていたのだといいます。
そうしたナンバービル時代を経て、1986年にはアークヒルズが登場。ちなみにアークヒルズはナンバーにすると47番目だそうです。
八巻さん:番号のみだと、どこのエリアのどのビルが何番なのか、把握が難しくなってきたこともあり、具体的なビル名を付けることになりました。ブランディングのことも考えての方針転換でした。
都市模型を活かした説明は、模型エリアのほとんどが海だった時代から現代に至るまでの海岸線の変化や、土地の高低など、地理学のようなものまで多岐に渡ります。
写真は土地の高低を可視化したもの。新宿が高い位置にあること、渋谷が名の通り「谷」にあることなどが一目瞭然です。
都市模型を見ることで、エリア同士の位置関係もよくわかります。今回フォーカスした虎ノ門は、森ビル創業の地である新橋に近いエリアであり、官公庁のある霞が関に近接した場所であることが一目でわかりました。
大企業を有する大丸有、スタートアップの渋谷、外資系の六本木など、多様なプレイヤーの中心地にある利便性が、虎ノ門の大きな特徴です。
また、「良くも悪くも既存イメージがないため、誰にも抵抗感がない」街だといいます。
強いて虎ノ門のイメージをあげるなら「ビジネスエリア」。そうした街だからこそ、いろいろな人と出会えるのがメリットです。政治の中心地に近いため、国の事業やコンペに出るような企業、官公庁への訪問回数が多いスタートアップにとって、利便性の高いエリアなんですよ。
大企業がオフィスを構えているエリアでもあるので、ここへのオフィス移転は信用度のアップにも寄与しますし、大きな成長を視野に入れて経営している会社に適したエリアと言えるのではないでしょうか。
ヒルズが有名になっている今は、「森ビル」と聞くと大きな企業が入るイメージを持たれている方もいるのではないでしょうか。しかし、西新橋2森ビルに創業したリクルートを始め、森ビルは創業当社からスタートアップを受け入れてきた不動産会社であり、森ビル自体も業界のスタートアップであるという背景を持つ会社であることも、同社がスタートアップを重視し続けている理由のひとつです。
場所を移して、いざ虎ノ門へ。「虎ノ門ヒルズ駅」に向かいます。
ビル名がそのまま駅名なった虎ノ門ヒルズ駅。地下改札からビルへはご覧の通り直結しています。
「新駅と共に街づくりを行ってきた」のだそう。さて、さっそくビルを見学していきましょう!
まずは入ってすぐのこちらのエリア。虎ノ門ヒルズステーションタワーの地下に設けられた「ステーションアトリウム」と名づけられた駅前広場です。
八巻さん:海外では地下鉄に駅前広場がある作りは珍しくはないのですが、日本では地下にこんな大空間を持つ広場を持つことはまれなんです。地下鉄が広がった当時になかった価値観だったことがその理由の1つですね。地上とは異なり、地下は一度作ってしまうと新たに広場を設けるのは難しいですから。
ここは新駅と合わせて街を創れたからこその広場なんですよ。奥にはT-MARKETという、飲食・食物販・物販から、サービス・イベントスペースまで、個性的な27店舗が有機的に共存するエリアが隣接しています。
T-MARKET内には、こんなランチスポットが。ランチスポットでもありますが、川出さん曰く「夜も良い雰囲気の中で食事が楽しめる」のだとか。
作りはおしゃれなフードコートなのですが、テーブルにあるこのQRコードで、複数のお店のメニューを席に座ったまま頼めるのだそう。便利ですね。
さて、次は虎ノ門ヒルズ 森タワーへ。地下だけでなく2階レベルでもデッキがつながっているため、大通りを渡ることなくエリアを回遊することができます。
大通りの上にある橋だとは思えない広さが印象的です。
八巻さん:ただの橋ではなく、広場のような空間を目指して作られているんです。
川出さん:中央のガラス張りの建物「グラスロック」を超えた先に見えるのが森タワーです!
橋からは、ラボで聞いた「ナンバービル」が。
ナンバービルに入居して成長し、ヒルズに移転、ヒルズ内で増床していくという具合に、虎ノ門エリアで成長を続けていくスタートアップ企業さんも多くいらっしゃいます。
まるで公園のようなスペースも。
八巻さん:近隣の保育園の子どもたちの散歩ルートにもなっているんですよ。暖かい日には芝生エリアでは、ランチを食べる人たちの姿も見られます。
さて、虎ノ門ヒルズ 森タワーに到着です!
森タワーは、オフィスに加えて、国際会議などが可能なフォーラム、商業施設、ホテルのアンダーズ東京、住居まである利便性の高さが魅力。。地上52階のうち、オフィスは6~35階です。今回は20階と9階の区画を拝見しました。
まずは20階へ。半分は入居済みの為、今回見られたのは南側のフロア。
八巻さん:反対側のフロアは私が契約したお客様なので思い入れもあるフロアです。
東京タワーが見える方角の物件は、やはり外資企業を中心に人気があるのだそう。愛宕神社や青松寺をはじめとした周辺の緑を足元に望むこともでき、都心にありながら緑が多い眺望も魅力です。
1フロアは約1000坪。かなり広々としていますが、扉が多く、企業の規模に合わせて40坪程度から契約できます。
天井高は2.8メートル。床下には15センチのスペースがあり、電源コードなどが収められます。
お次は9階へ。
東京タワーも目線の高さで、また少し印象が違います。
タワーを基点にまっすぐに伸びる「環状二号線」の眺望も特徴。立体道路制度を活用して森タワーの下に地下トンネルを通すことで、環状二号線の完成に貢献するだけでなく、周辺主要道路における交通渋滞の緩和が図られているのだそう。羽田空港まで最短20分と、かなりの好アクセスが実現しました。
気になるトイレもご案内いただきました。
両サイドから入れるよう、出入り口は2カ所に。女性用トイレには、入居会社の社員が使える収納スペースも用意されています。
八巻さん:ボックス式よりも柔軟に使えるため、オープン棚にし、テナント様のシールを貼ってスペースを分けながら使っています。歯ブラシセットなど、お手洗いに置いておくと便利なものを置いて使っていただいています。
次にご案内いただいたのは、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーです。
低層フロアには、スーツ店やビジネスに欠かせない手土産を購入できるショップが。入居企業のベネフィットとして、スーツ購入の際に割引になるといった制度もあります。
3階には、ランチやディナーで立ち寄りたくなる、東京中の名だたる名店がたくさん並ぶ「虎ノ門横丁」が。お気に入りのお店を開拓したくなります。
八巻さん:食べる場所に困らないくらいお店がたくさんあるので楽しいですよ。
こちらが4階にあるインキュベーションセンター「ARCH Toramonon Hills」です。
大企業の新規事業創出部門が、現在約120社が入居しています。社員数は1000人。
個室もありますが、大半の会員の方が別の会社にもかかわらずなんの垣根もなく隣同士で働いているのが特徴です。「ARCH Toramonon Hills」にいる方は新規事業に取り組む人、関心のある人ですから、適した相手との出会いの場にもなっているんです。また、人事異動で突然新企業担当になる人も多いので、新規事業立上げに必要なノウハウを知るカリキュラムを提供しています。
川出さん:大企業は窓口が多いため、協業して新規事業の話を相談したいと思っても適切な人につながるまでがなかなか大変だという課題があるんです。ここではスタッフが積極的に会員の人となりを把握して、ニーズに合わせた人の紹介、つなぎ込みをしていることも特徴です。
もう一つ、グローバルに展開するイノベーションセンター「CIC Tokyo」と連携することで、入居するスタートアップや大企業、自治体や各国の商工会議所などとのつながりの創出にも寄与しています。
見学後は、ビルの模型が飾られているお部屋でお話を伺いました。
虎ノ門ヒルズ 森タワーなど、このエリアを選んでオフィスを構えている会社の傾向を教えてください!
他のエリアと比べると外資系企業が多く、日系企業と半々ですね。スタートアップに限っていうと、日系企業が多いです。ご覧いただいたように、近隣にナンバービルがあるので、企業規模や段階に応じてまずはナンバービルにご入居いただき、成長に伴ってヒルズクラスのビルに移転するなど、幅広い提案ができるのが虎ノ門エリアの強みだと思っています。
森ビルさんとして、虎ノ門エリアの開発で意識されていることは何でしょうか。
コンセプトの「グローバルビジネスセンター」がキーワードです。新規事業を生むためには、属性が凝り固まらないほうがいい。そのため、「CIC Tokyo」を誘致したり、大企業が集まる「ARCH Toramonon Hills」を作ったりと、いろいろなフェーズの会社が集まって活動できる場づくり、機会づくりを意識的に行っています。
川出さん:イベントも多く、「CIC Tokyo」でもほぼ毎日のように開催していますし、虎ノ門ヒルズという街としてもイベントを行っています。森ビルにはタウンマネジメント事業部という部署があり、街の鮮度を保ち続けるために様々な施策を企画しています。例えば月に1回開催のヒルズブレックファーストというピッチイベントは、朝8時という早い時間にも関わらず毎回100名以上のビジネスパーソンが集まる人気企画で、これを起点にコミュニティを育んでいることも特徴です。
どういったスタートアップ企業に向いているエリアだと思いますか?
日本だけではなく、海外進出も視野に入れているスタートアップは、同じビル内に「CIC Tokyo」があることもあり、いい足掛かりにしてもらえるのではないかと思います。ワークスペースだけではなく、コミュニティがあるのが重要ですので、ぜひつながりづくりにも活用していただきたいですね。交通面では羽田へのアクセスも良さも利点です。あとは官公庁が近いことから、規制緩和を伴う大きなビジネスを展開しようとしているスタートアップや、広がりを求めている企業の方にはいい機会を提供できるのではないかと思います。ぜひ選んでいただけるとうれしいです。
森ビルは街を創り、育んでいく会社なので、今までご紹介したイノベーション施設だけではなく、情報発信拠点「TOKYO NODE」やフォーラム施設、店舗やレストランなど、街全体を活用いただけるのもおすすめしたいポイントです。ご要望をいただければ様々な提案をさせていただきますのでぜひお聞かせください!
八巻さん:また、スタートアップの方にお伝えしたいのは、ヒルズアプリを通した福利厚生サービスの提供です。ご案内中に「スーツを割引で購入できる」といったベネフィットについてお話しましたが、現在虎ノ門ヒルズ、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、アークヒルズを中心に250種類、虎ノ門ヒルズだけでも50種類以上あるベネフィットもアプリを使って提供されます。 それだけではなく、ご要望に応じて福利厚生をプラスできるんですよ。特に小さな規模の企業のHR部門の方は、従業員満足度(ES)向上の為の仕組みづくりに苦慮されている方が多くいらっしゃるということがわかっています。このアプリを通じて、街全体を対象にした福利厚生プログラムを企業のニーズに合わせて設定することが可能になります。例えば、毎月のランチ代を補助するクーポンの付与、特定の年齢層の健康をサポートをする為にフィットネスクラブの補助、新入社員や課長用に懇親会費の支給、1on1用のランチ代の補助など、応用範囲は様々ですので、ご相談いただけるといろいろな提案ができます。
大企業でなければ難しい福利厚生も、当社を活用することで、入居された企業のリソースを省力化しながら提供できるのは、街全体の管理運営すべてを一気通貫でやっているからこそ。自信を持っておすすめできるポイントです。コロナ禍でのワクチン接種もわかりやすい事例です。医師や看護師、会場などを自力で確保したうえ、最低1000人以上でなければ設定できない職域接種は、多くのスタートアップが対象外でした。そこで、当社は六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズのみならず、管理運営する物件すべての入居企業分をまとめて実施することで、10万人を対象とする職域接種を実現しました。
川出さん:コロナ禍により「オフィス不要」論が強まった時期がありましたが、そこを経て、今は「リアルコミュニケーションはやはり大切」だと、オフィス回帰の流れがきています。ただ、天井高などハード面の要素はコモディティ化していて、他社のビルとの差別化が難しくなっているのが現状です。 ただ床を提供するのではなく、機会や出会いの提供、福利厚生の支援など、ソフト面での差別化を図ることで、「ヒルズに入る意味がある」と感じていただけるのではないかと思っています。ご状況や今後の展望に合わせて柔軟にご提案いたしますので、ぜひ私たちにお気軽にご相談ください!
――本日はありがとうございました!
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