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要確認!オフィスの契約書の見方とトラブル回避のための着目ポイント

要確認!オフィスの契約書の見方とトラブル回避のための着目ポイント

オフィス移転時にオーナーと締結する賃貸借契約書は、法律的で複雑な文言が多く含まれているため、すべてに目を通すことに抵抗があったり億劫に感じられたりするのではないでしょうか。

しかし契約書はオーナーごとに内容が異なることも多く、契約前にしっかりと確認しておかなくては、後に大きなトラブルに発展する可能性も否定できません。

そこで今回はオフィスの賃貸借契約書で、必ず見ておきたいポイントを厳選して解説します。少しでも疑問に感じる部分があれば、必ずオーナーに確認してから契約するようにしましょう。

要確認!オフィスの契約書の見方とトラブル回避のための着目ポイント

1.オフィスの契約書とはどのようなものか

オフィス契約における「契約書」は、貸主であるビルオーナーと借主である企業(または個人)のとの間における約束事を定めておくためのものです。

日本には「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」という土地や建物を貸し借りする際に適用される法律があり、貸主と比較して弱い立場にある借主を守る内容が定められています。この借地借家法にもとづいて、契約の更新・賃料の改定・事務所の使用方法・解約など、ケースに応じた決めごとを記しておくものが契約書です。

実は貸主と借主の間には、必ずしも契約書を取り交わさなければならないという法律的な義務は存在せず、口約束でも事務所の貸し借りは可能とされています。しかし契約書がなかった場合、貸主が使用したいと思っても退去してもらえなかったり、借主が賃料を支払わないまま専有を続けたり、本来の用途とは異なる使い方をしたりといったトラブルが発生した場合に、問題を解決するまでに多くの労力や費用がかかる可能性があります。

そうした問題を防ぐためにも、契約時には貸主・借主間の約束事を契約書という形で取り決めておくことが重要なのです。

2. オフィスの契約形態の種類

オフィスの賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期賃貸借契約」の2つの種類が存在します。それぞれの特徴を理解しておきましょう。

2-1. 普通建物賃貸借契約(普通借家契約)

普通借家契約は契約期間満了ごとに更新が行われるタイプの契約形態です。

1年以上の契約期間が必要で、オフィス契約の場合は2年または3年に設定されることがほとんど。更新の際には更新料や事務手数料が発生する物件もあります。

契約期間中の途中解約は、原則としては借主にのみ認められています。事務所やビルの規模にもよりますが、解約希望日から2〜6ヶ月前に貸主に対して解約を申し出ることで、契約期間中の解約が可能になります。一方で貸主からの解約や更新拒絶は、正当な理由(建物の老朽化による取り壊し)がある場合を除き、基本的には認められない

また普通借家契約においては、貸主または借主から賃料の改定を申し出ることが可能です。ただし契約書の記載によっては貸主に有利な形になっているケースもあるため注意が必要です。契約書の見方については後ほど解説します。

2-2. 定期建物賃貸借契約(定期借家契約)

定期借家契約は契約期間満了と同時に契約が終了し、更新がないタイプの契約形態です。例えば契約期間を2年と定めた場合、契約開始から2年が経過した時点で賃貸借契約は自動的に終了し、それ以降も使用を継続する場合は、新たな賃貸借契約を締結する必要があります。

定期借家契約においては契約期間を1年未満に設定することも可能なため、「半年後に取り壊しが決まっているが、少しの間でも貸し出したい」という場合などに採用されます。

定期借家契約では貸主・借主いずれからも途中解約ができません。ただし特約条項で途中解約が可能と定めるケースもあり、特に小規模・中規模のオフィスビルでは途中解約が可能としているビルも多く見受けられます。

契約期間中は賃料の改定もありませんが、契約期間満了と合わせて再契約を行う際に、貸主より値上げ・値下げを提示されることもあります。双方が賃貸借条件に関して合意しなければ再契約できず、そのまま契約終了となります。

3. オフィスの契約書で確認すべきポイント

賃貸借契約書は普段馴染みのない言い回しや法律的な用語が多く使われているため、なかなか理解が難しいと感じるかもしれませんが、お互いに気持ちよくオフィスの貸し借りを行うためには内容をしっかりと把握しておく必要があります。

賃貸借契約書を読む際に確認しておきたいポイントは下記の6つです。

  • 賃料・共益費・その他諸費用の支払方法と期日
  • 賃料の改定
  • 賃借期間と中途解約
  • 原状回復の範囲と負担割合
  • 損害賠償や違約金の予定額
  • 館内規則と禁止事項

1つずつ詳しく解説します。

3-1 賃料・共益費・その他諸費用の支払方法と期日

賃料と共益費の金額に間違いがないか、毎月いつまでにどのような方法で支払うかと合わせて、ほかに借主が負担すべき費用についても確認しておきましょう。

電気・ガス・水道代の請求方法や契約方法に加え、専有部(室内)の清掃やゴミの回収を行っているビルの場合は、詳細も聞いておくと安心です。

3-2 賃料の改定

契約中に賃料の改定を申し出ることができるかどうかも重要なポイントです。

普通借家契約においては、貸主と借主の双方に賃料改定を申し出る権利がありますが、実際に改定するには協議の上合意を得る必要があります。

まれに契約書の条文が「賃料を改定できることとする」といった内容になっている場合があるため、「協議のうえ改定できることとする」条文に変更してもらうよう交渉しましょう。

3-3 賃借期間と中途解約

契約期間中の解約が可能な普通借家契約では、解約予告期間を確認するのを忘れてはいけません。

解約予告期間とは、解約希望日からさかのぼって何日(何ヶ月)前に貸主に申し出なければいけないかを定めたもの。ビルや貸室の規模にもよりますが、多くの場合2〜6ヶ月前に書面による申し出により中途解約が可能とされています。また先述したとおり、定期借家契約の場合でも特約で定めることで中途解約を可能としている場合もあります。

特に事業拡大や増員などで数年のうちに再度移転することを検討している場合は、新しいオフィスの契約開始と旧オフィスの解約のタイミングを合わせる必要があります。解約予告期間を勘違いしていると余分に家賃を払わなければならなくなるケースもあるため、必ず確認しておくようにしましょう。

3-4原状回復の範囲と負担割合

オフィス契約においてトラブルになりやすい原状回復に関する取り決めは、特に慎重に確認しておく必要があります。

「原状回復」というと「入居したときの状態に戻す」ことをイメージするかもしれません。しかし国土交通省のガイドラインによると、退去時に借主が費用を負担しなければならないのは、借主の故意・過失や管理不足によって発生した汚れや破損に対する修繕費用のみです。つまり経年劣化や自然損耗、設備や製品の寿命で故障したものに関しては、借主ではなく貸主が費用を負担するということです。

しかしこれはあくまでもガイドラインであり、貸主と借主の負担分を契約書上で別途定めること自体に問題はありません。

そのため賃貸借契約書の原状回復に関する条文は細部まで確認し、貸主と借主の費用負担の範囲を明確にしておくことが重要です。

3-5 損害賠償や違約金の予定額

契約ごとに大きく異なることが多いのが損害賠償や違約金です。これらは契約違反があった際に支払うお金のことで、お互いの金銭トラブルを避けるためにも必ず確認しておきたい部分です。

例えば契約開始から最初の1年が経たないうちに解約した場合に、「早期解約違約金」として賃料数ヶ月分を請求するとしている場合もありますし、毎月の賃料の支払いが遅れた際に生じる「遅延損害金」も違約金の一種として扱われます。

どのようなケースでどれくらいの金額が発生するかは、貸主が定める内容によるため注意しましょう。

3-6 館内規則と禁止事項

オフィスビルには館内規則や使用細則が定められていることもあるため、契約前に必ず確認しておきましょう。これは入居中のトラブルを回避するためでもありますが、入居前の内装工事や荷物の搬出入のスケジュール調整に大きく関係します。

内装工事には多くの職人が出入りしたり騒音が発生したりするため、特に店舗が入居しているビルの場合は、作業できる時間帯が夜間に限定されていることがあります。また引っ越しに伴い大きな荷物の搬出入がある場合、エレベーターを長時間専有してしまうことで、ほかのテントに迷惑がかかることも考えられるため、「占有して利用する場合には事前の申請が必要」などとされているケースもあります。

場合によっては引っ越しスケジュールの変更が必要な可能性もあるため、館内規則に関しては早めに取得しておくことをおすすめします。

また禁止事項は、違反することで場合によっては貸主から契約解除を申し立てられる可能性も否定できないため、必ず確認しておかなければなりません。楽器演奏やペットの飼育を禁止しているオフィスが多いことは容易に想像できるかもしれませんが、喫煙や窓の開閉に制限を設けているビルもあるため注意しましょう。

オフィス契約はビルオーナーと直接つながれるサービスの活用がおすすめ

オフィスの契約書は普段馴染みのない言葉が多く使われているため、すみずみまで目を通すことを難しく感じる人がほとんどです。しかし貸主と借主の間で起こるトラブルは、契約書の内容を理解できていなかったり、契約書上での取り決めが不明確だったりすることで引き起こされるケースも少なくありません。

そのため賃貸借契約書の項目にはすべて目を通し、疑問点や変更点が見つかった場合には貸主であるビルオーナーに交渉や相談する必要があるということも頭に入れておきましょう。

通常オフィスの契約を締結する際、不動産仲介会社を通じてビルオーナーとやりとりをしますが、契約書の内容確認や条文変更の交渉をスムーズに進めるには、オーナーと直接つながり契約できるサービスを活用するのが理想です。

オフィス物件専門のマッチングサービス【cocosy】は、入居者を募集しているビルオーナーとチャットで直接やりとりできる新しいサービスです。オーナーと直接連絡をとれることで、契約書の内容を詳細に把握したり不明点を質問したりと、不動産会社を通じたオフィス探しよりも時間や手間をかけることなく新しいオフィスを契約できます。

契約締結から解約までトラブルなくオフィスを使用するためには、できる限りオーナーと頻繁に連絡を取り合い、いい関係性を構築することも重要です。【cocosy】を活用して理想のオフィスを見つけ、新しい環境でビジネスをスタートさせましょう。

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