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オフィスの原状回復とは?費用相場・工期・範囲をわかりやすく解説

オフィスの原状回復とは?費用相場・工期・範囲をわかりやすく解説

📅 最終更新:2026.8.10|ライター:小堀恵一(株式会社Lexi/オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営)

この記事を書いた人

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営

東京都立大学経済学部卒業。2009年よりオフィス移転の現場に携わり、リクルート・エムスリー・DeNAなど大手企業の移転を担当。2018年に株式会社Lexiを設立し、不動産デベロッパー向けの物件紹介VR事業を大手各社に導入・定着させたのち事業を売却。物件情報の流通の非効率と情報の非対称性を解消するため、2022年からオフィス移転プラットフォーム「cocosy」を立ち上げ、運営中。3人の子どもの父。

X(旧Twitter):@kobo_lexi

オフィスの原状回復とは、退去するときに借りたときの状態へ戻してから物件を返す義務のことです。オフィスの原状回復は住宅と違って費用も工期もケタ違いで、「移転先の初期費用は計算していたのに、退去側の原状回復で数百万円の見積が届いて青ざめた」というのは実はよくある話。本記事では、原状回復の範囲、費用の坪単価相場、工期の目安、そしてトラブルを避けるためのチェックポイントを解説します。

オフィスの原状回復とは?どこまで戻すのか

オフィスの原状回復とは、賃貸借契約の終了時に、借主が物件を「借りたときの状態」に戻して返す義務のことです。入居後に造った内装をすべて撤去・復旧するのが基本で、具体的には次のような工事が含まれます。

  • 間仕切り(パーテーション)の撤去
  • 床・壁・天井の復旧(クロス張替え、床材の原状復帰など)
  • 増設した電気・空調・防災設備の撤去、元の状態への戻し
  • 看板・サインの撤去、クリーニング

ポイントは「入居時に造り込んだ内装ほど、退去時に戻す工事量も増える」ということ。原状回復費用は、実は入居時の内装計画の段階から始まっているのです。

住宅の賃貸との違い|経年劣化・通常損耗の扱い

住宅の賃貸では、普通に暮らして生じる損耗(経年劣化・通常損耗)は貸主負担とする考え方が浸透しています。一方オフィスの賃貸借契約では、通常損耗や経年劣化の分も含めて借主が原状回復するという特約が設けられているのが一般的で、事業用の契約ではこうした特約が有効と扱われやすいのが実情です。

「住宅と同じ感覚」でいると負担範囲の見込みがズレます。自社の負担がどこまでかは、契約書の原状回復条項と特約で決まるため、まず契約書を確認することがすべての出発点になります。契約書の見方はオフィスの契約書の見方とトラブル回避のポイントを解説した記事も参考にしてください。

オフィスの原状回復費用の相場(坪単価の目安)

オフィスの原状回復費用は、一般的に次のような坪単価が目安といわれています。

ビルのグレード坪単価の目安
小規模〜中規模ビル坪3〜5万円程度
中規模〜大規模ビル坪5〜10万円程度
大規模・ハイグレードビル坪10万円以上になることも

たとえば50坪のオフィスなら、坪5万円としても250万円。100坪でハイグレードビルなら1,000万円を超えるケースも珍しくありません。賃料のように毎月払うものではないため意識から抜けやすいのですが、移転の総予算に必ず組み込んでおくべき費用です。

費用が高くなりやすい3つの理由

①工事業者を借主が選べない(指定業者制)
オフィスの原状回復工事は、多くの契約で「オーナー(貸主)側が指定する業者」が施工すると定められています。複数の業者に相見積もりを取って安いところへ頼む、という価格競争が働かないため、単価が高止まりしやすい構造です。これは入居時の「B工事」と同じ仕組みで、詳しくはオフィスのB工事とは?費用が高くなる理由を解説した記事をご覧ください。

②資材と人件費の高騰で工事単価そのものが上がっている
近年は資材価格の高騰と職人の人件費(人工)の高騰が同時に進んでおり、工事費用は年々上がり続けています。「前回の移転のときの感覚」で予算を立てると、いまの見積とは大きなギャップが出やすい点に注意が必要です。

③造り込んだ内装ほど撤去・復旧の工事量が増える
天井までの間仕切りを多く造った場合、撤去だけでなく、間仕切りに伴って分岐した空調・電気・防災設備を元へ戻す工事もセットで発生します。入居時の内装の造り込み具合が、そのまま退去時の費用に跳ね返ります。

敷金(保証金)との関係

原状回復費用は、預けている敷金(保証金)から充当・精算されるケースが多くあります。工事が適切に行われれば、費用を差し引いた残りが返還されます。ただし契約によっては償却(返還されない部分)が定められていることもあるため、精算の条件は契約書で確認しておきましょう。

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原状回復の工期の目安とスケジュールの組み方

原状回復のスケジュールで多くの企業がつまずくのが「工期が思ったより長い」という点です。坪数別の工事期間の目安は次のとおりです。

坪数工事期間の目安
〜150坪くらい1ヶ月
150〜300坪くらい2ヶ月
300〜500坪くらい3ヶ月
それ以上3ヶ月以上

※実際の工事内容によって変わります。あくまで目安としてご覧ください。

工事は「契約終了日までに完了」が原則=逆算で動く

原状回復工事は、退去日(賃貸借契約の終了日)までに完了させるのが原則です。つまり工事期間中も賃料は発生しています。たとえば150坪のオフィスなら、退去日の1ヶ月以上前には新オフィスへの引っ越しを終えて、旧オフィスを空にしておく必要があります。

さらに、多くのオフィスの契約では解約予告が6ヶ月前。解約予告を出す時点で、原状回復の概算費用と工期を把握できていると、移転全体の資金計画とスケジュールの精度が大きく変わります。移転全体の段取りはオフィス移転のスケジュール&タスク完全ガイドで詳しく解説しています。

トラブルを避けるためのチェックポイント

①契約書の原状回復条項を「入居前」に確認する

原状回復の範囲・指定業者の有無・敷金精算の条件は、すべて賃貸借契約書で決まります。退去が決まってから読むのではなく、入居前(契約前)に確認して、負担が過大な特約があれば契約段階で交渉するのが理想です。判断に迷う条項は、弁護士や不動産の専門家に確認するのも有効です。

②見積は「内訳」まで出してもらう

指定業者制で相見積もりが難しくても、見積の内訳(項目ごとの単価と数量)の提示を求めることはできます。内訳が見えれば、「借りたときから存在した設備の撤去が含まれていないか」「工事範囲が契約書の定めより広がっていないか」といった過剰な項目に気づけます。疑問点は放置せず、オーナーや管理会社に確認しましょう。

③入居時の内装を「造りすぎない」ことも効いてくる

原状回復費用は、突き詰めれば「入居時にどれだけ造り込んだか」で決まります。天井までの間仕切りを本当に必要な部屋に絞る、可動式の家具で区画するなど、入居時の内装設計の工夫が数年後の退去費用を軽くします。内装費用の考え方はオフィス移転時の内装費用を解説した記事をご覧ください。

まとめ|原状回復は「退去の半年以上前」から動く

オフィスの原状回復は、坪3〜10万円程度が費用の目安で、ビルのグレードが上がるほど高くなります。指定業者制で価格交渉の余地が小さく、資材・人件費の高騰で単価自体も上昇傾向。さらに工期は坪数によって1〜3ヶ月以上かかり、契約終了日までに完了させる必要があります。

だからこそ、「見積が来てから考える」のでは遅いのが実情です。解約予告(多くの契約で6ヶ月前)を出すタイミングで概算費用と工期を把握し、逆算でスケジュールを組む。そして次のオフィスでは、契約前に原状回復条項を確認し、内装を造りすぎない。この積み重ねが、退去時のトラブルと想定外の出費を防ぎます。

FAQ よくある質問 オフィスの原状回復

原状回復費用はどのくらいかかりますか?

一般的な目安は坪3〜5万円、中規模〜大規模ビルで坪5〜10万円、ハイグレードビルでは坪10万円を超えることもあります。50坪なら150〜500万円程度が概算のレンジです。入居時に内装を造り込んでいるほど高くなり、近年は資材・人件費の高騰で単価自体も上昇傾向にあります。

経年劣化や通常損耗も、借主が原状回復する必要がありますか?

住宅では経年劣化・通常損耗は貸主負担が原則ですが、オフィスの賃貸借契約では、これらも含めて借主が原状回復する特約が設けられているのが一般的で、事業用契約ではこうした特約が有効と扱われやすいのが実情です。自社の負担範囲は契約書の原状回復条項と特約で決まるため、契約書の確認が出発点になります。

原状回復はいつから動き始めればよいですか?

解約予告(多くの契約で退去の6ヶ月前)を出す時点で、概算費用と工期を把握しておくのが理想です。工事は契約終了日までに完了させる必要があり、工期は坪数に応じて1〜3ヶ月以上かかります。工期分は旧オフィスを空にしておく必要があるため、引っ越しの日程も含めて逆算でスケジュールを組みましょう。

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