オフィス移転と聞くと、不動産ポータルサイトで物件情報を検索したり、不動産仲介会社に依頼して物件を提案してもらったりすることをイメージする方が多いのではないでしょうか。
確かにインターネットには膨大なテナント募集情報が掲載されていますし、不動産会社を利用すれば自分たちで探す手間が省けるため便利です。しかし最近は、上記2つ以外の方法でテナント募集をするビルオーナーも増えてきており、より低コストかつスムーズに事務所を移転できるケースもあります。
効率よく希望条件に合ったオフィスを探すにはどうしたらいいのでしょうか。本記事を参考にテナント募集をおこなうビルオーナーが抱える裏事情にも触れていきますので、「失敗しないオフィス移転の方法」を学びましょう。
ビルオーナーがどのような方法でテナント募集をおこなっているかを知っていると、さまざまな角度からオフィス探しができるようになります。ここではテナント募集時に利用される主な方法を3つ紹介します。
テナント募集で最も多く利用されているのが、不動産ポータルサイトへの掲載です。
物件情報がまとめて掲載されている不動産ポータルサイトには、賃貸マンション・アパートといった居住用物件だけでなく、事務所や店舗といった事業用物件を一覧できるページもあります。希望条件を入力するだけで一度に多くの物件情報を閲覧できるため、多くの企業がオフィス移転の際に不動産ポータルサイトを利用しています。
不動産ポータルサイトに物件情報を掲載できるのは、サイトに登録している不動産会社のみです。そのためオフィスビルで空室が出ると、ビルオーナーはオフィス仲介をしている不動産会社に入居者を募集してもらえるよう依頼し、依頼を受けた不動産会社がポータルサイトに空室情報を掲載するという形でテナント募集をおこないます。
不動産ポータルサイトに掲載されている物件情報は一般の人でも気軽に閲覧できるため、できるだけ多くのテナント募集情報を一度に比較したい場合に役立ちます。
インターネットを活用して物件情報を検索するだけでなく、不動産仲介会社に物件探しを依頼することも重要です。その理由は、ビルオーナーの事情で不動産ポータルサイトに掲載できないテナント募集情報も存在するためです。
例えば、早く新しいテナントに入居してもらうために募集賃料を安く設定したいと考えた場合、そのまま不動産ポータルサイトに掲載すると、現在の入居者の目に触れてしまう可能性があります。入居中の企業は当然安い賃料でオフィスを借りたいと考えますから、募集情報を見たのちに賃料の値下げを要求されるリスクがあります。
ビルオーナーによってはさまざまな事情により、テナント募集の情報を一般に公開していないケースも少なくありません。そうした非公開情報を入手するには、オフィス仲介をしている不動産会社に物件探しを依頼する必要があるのです。
非公開情報を入手できる以外にも、不動産会社は一般向けのポータルサイトよりも詳細な物件情報を閲覧できるため、自社にあった移転先をスムーズに見つけることが可能です。
ケースとしては多くはありませんが、テナントを募集しているビルオーナーが移転先を探している企業をスカウトすることもあります。
特に有名企業が多く入居するオフィスビルや大型ビルは、企業イメージの向上やブランディングを目的として多くの企業が入居を希望するため、一般に情報を公開してしまうとオファーが殺到します。
そのためテナント募集情報を一般に公開せず、ビルのイメージや規模感に合致する企業に対して、ビルオーナーから直接営業をかけるという方法で次の入居テナントを募るのです。
これまでこうしたビルオーナー側からのスカウトは、一部の有名企業や大企業しか受けることが叶いませんでした。しかし最近では、自社情報や移転先の希望条件を登録しておくだけで、条件に合ったオフィスを所有するビルオーナーからのスカウトを受け取れる【cocosy】というサービスも登場しています。【cocosy】については本記事の後半で詳しく紹介します。
移転先のオフィスを比較する際の基準は、整えたいオフィス環境や定着させたい企業イメージなどにより異なります。
例えば増員をきっかけに移転を検討しているベンチャー企業であれば、さらに優秀な人材を確保することを視野に入れて、広い事務所面積に加え、多方面からのアクセスのいい場所にあるテナントビルを選ぶ必要があるでしょう。
多くの電子機器や特殊な機械を必要とする業種であれば、物件の面積や賃料だけでなく、電気容量や床の耐荷重が十分にあることを確認しておくことが重要です。
また取引先の企業に対してクリエイティブなイメージを定着させたい場合は、「スケルトン」と呼ばれるコンクリート打ちっぱなしの状態の物件を選び、一から内装を作り上げるという方法もあります。スケルトン物件は「貸事務所」よりも「貸店舗事務所」や「貸店舗」として募集されていることが多いため、内装に力を入れたい場合は注目してみましょう。
テナント募集物件を検索するときは、あこがれのエリアや予算・面積だけでやみくもに探すのではなく、現在のオフィスで抱えている課題は何か・オフィス移転によりどのようなことを実現したいかを整理したうえで、自社が目指す方向性に合った物件を見極めるようにしましょう。
テナント移転で失敗しないためには、下記の3つのポイントを押さえて計画的に進めることが重要です。
・複数の業者に問い合わせる
・オフィス移転にかかる費用はトータルで考える
・テナントビルのオーナーと直接取引できるサービスの利用を検討する
1つずつ詳しく解説します。
不動産仲介会社に依頼してオフィス探しをする場合は、必ず複数の不動産会社に問い合わせるようにしましょう。
ひとくちに不動産会社と言っても、それぞれの会社が得意とする分野やエリアはさまざまで、賃貸の仲介も「居住用」と「事業用」という2つのカテゴリーに分けられます。
例えば港区で新しいフィスを探したい場合、東京23区の居住用物件を得意とする不動産会社に問い合わせるよりも、港区の事業用物件を専門にする不動産会社に依頼したほうが、多くの物件情報を得られる可能性が高いと言えます。
複数の不動産会社に問い合わせることで、それぞれの会社の得意エリア・分野を見極めるチャンスが増えます。最初から1社に絞らず、いくつか気になる不動産会社と連絡をとってみることをおすすめします。
オフィスの移転で失敗しないためには、移転にかかる費用の全体像を把握し、トータルでどれくらいの費用がかかるかを考えましょう。
移転費用を考える際に陥りがちなのが、仲介手数料ばかりに注目してしまうということです。仲介手数料は不動産会社に対して支払う成果報酬のようなもので、賃料の半月分~1ヶ月分程度かかるのが一般的と言われています。オフィスの賃料が高くなるほど仲介手数料も高くなるため、手数料無料の不動産会社を探したり減額交渉をしたりするケースも多く見られます。
しかしいくら仲介手数料を減額してもらえたとしても、旧オフィスから新オフィスへの引っ越し費用や、不要になった什器備品の処分費・購入費が必要以上にかかってしまえば、結果的に予算オーバーになることも考えられます。
オフィス移転にかかる費用は、それぞれの項目で相場がどれくらいなのかを把握したうえで、全体を見て「どこを削れるか」という考え方で見直すことが重要です。
それでもやはり仲介手数料をできるだけ安くしたい・払いたくない場合は、不動産会社に仲介を依頼せず、ビルオーナーと直接取引できるサービスを利用して物件を探すという選択肢もあります。
不動産ポータルサイトでは、稀にビルオーナーが自ら物件情報を掲載している場合もあります。取引形態の部分に「貸主」と記載がある物件は、ビルオーナーと直接契約できる物件です。ポータルサイトのみで物件を探す場合は、検索条件欄で「貸主」に絞って検索してみましょう。
ただし先述のとおり、不動産ポータルサイトに物件情報を掲載できるのは宅建業者のみのため、宅建業登録をしていないオーナーが所有する物件は掲載されていません。つまりできるだけ多くの物件を参照するには、ほかの方法を考える必要があります。
ビルオーナーと直接契約できる物件に絞って移転先オフィスを決めたい場合に役立つのが、ビルオーナーと企業をつなぐ新サービス【cocosy】です。
【cocosy】の最大の特徴は、ビルオーナーと直接契約ができるという点にあります。
不動産会社が仲介に入らないため、一般的に賃料の0.5~1ヶ月分かかると言われている仲介手数料が不要です。
オフィスの移転には物件契約時の初期費用以外にも、旧オフィスを退去するための原状回復費用や廃棄物処分費用、新しい什器備品の購入費や新しいオフィスの内装工事費用など、まとまった資金が必要になります。
仲介手数料がかからない【cocosy】を利用するだけでも大きなコストカットができるという点で、経費削減しながらオフィス移転したい企業様に支持されています。
不動産情報を取り扱っているサイトは、登録料や契約が決まった際のシステム手数料がかかるものも多くあります。仲介手数料がかからなくても、システム手数料がかかってしまうことでお得感が半減してしまうこともあるでしょう。
【cocosy】でのオフィス探しは、物件検索のための会員登録や契約が決まった際のシステム手数料などが一切かかりません。オフィスをお探しの企業様は「完全無料」でご利用いただける点が大きなメリットです。
ビルオーナーと直接取引できるということは、仲介手数料がかからないだけでなく、テナント料(賃料)などの交渉もスムーズにできるということです。
通常不動産会社に依頼して物件探しをすると、賃料の減額や入居時期の調整といった相談事を、すべて不動産会社を通じておこないます。不動産会社も企業が希望の条件でオフィスを借りられるように最大限の交渉をおこなってくれますが、直接交渉を行うのと比較してスピード感が劣るだけでなく、場合によっては希望条件が正確にオーナーに伝わらないケースも考えられます。
契約前にオーナーと直接やりとりできることは、条件交渉を進める過程でお互いのことをよく知るきっかけにもなります。入居後に室内設備やテナント間のトラブルが発生した際にも、迅速に対応することができるようになるため、交渉を通して信頼関係を築いておくことは非常に重要です。
【cocosy】 の活用方法は物件探しだけに留まりません。移転先のエリアや面積・賃料などの希望条件を登録しておくことができ、登録情報を見たビルオーナーから「うちのビルに入居しませんか?」というオファーをもらうことも可能です。
先述のとおりオフィスビルによっては、空室が出ても募集条件を一般に公開したりインターネットに掲載したりできないケースも少なくありません。大々的にテナント募集をできない物件の場合、不動産会社に依頼して自社の顧客のみに提案してもらうか、オーナー側から移転先を探している企業に対してアプローチする必要があります。
【cocosy】に移転先の希望条件を登録しておくことでテナントを募集しているビルオーナーの目に留まりやすくなり、不動産ポータルサイトに掲載されていない物件・掲載前の物件の提案を受けられる可能性が高くなるのです。
これまでのオフィス探しでは、不動産ポータルサイトで物件を探したり不動産会社に問い合わせたりと、「企業から物件にアプローチする」スタイルが主流でした。【cocosy】はビルオーナーと直接つながれる場所を提供することで、契約時にかかる仲介手数料の支払いを不要にし、ビルオーナーからのスカウトを受け取るチャンスを創出するプラットフォームです。
オフィスを探す企業様は完全に無料でお使いいただけるため、移転先探しの便利なツールとしてぜひご活用ください。