ライター:cocosy運営局(オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営)
オフィスの保証金・敷金の相場は、賃料の6〜12ヶ月分です。住宅の感覚(1〜3ヶ月分)で予算を組んでいると、初めての見積で桁の違いに驚くことになります。たとえば賃料100万円のオフィスで保証金12ヶ月分なら、それだけで1,200万円。移転の初期費用のなかで、保証金は間違いなく最大の項目です。
本記事では、オフィスの保証金・敷金が何ヶ月分になるかの目安をビルのタイプ別に整理し、住宅より高くなる理由、そして「償却(敷引)」によって戻ってこないお金がある仕組みまで解説します。契約書のどこを確認すればよいかも紹介しますので、物件比較の材料にしてください。
保証金・敷金は、契約時に借主が貸主へ預けるお金です。賃料の滞納や原状回復費用にあてる「担保」の役割を持ち、解約時に精算のうえ残額が返還されます。オフィスの保証金の相場は、ビルの規模やグレードによって次のように変わります。
| 物件のタイプ | 保証金・敷金の目安 | 賃料100万円の場合 |
|---|---|---|
| 中小規模のオフィスビル | 賃料の3〜6ヶ月分 | 300〜600万円 |
| 一般的なオフィスビル | 賃料の6〜8ヶ月分 | 600〜800万円 |
| 大型・ハイグレードビル | 賃料の10〜12ヶ月分 | 1,000〜1,200万円 |
実際の募集条件はどうなっているのでしょうか。cocosyに掲載中の募集区画 約8,900件を集計したところ、次のような分布でした(2026年8月時点)。
| 敷金・保証金の月数 | 割合 |
|---|---|
| 12ヶ月分 | 約28%(最多) |
| 6ヶ月分 | 約21% |
| 10ヶ月分 | 約13% |
| 1〜3ヶ月分 | 約10% |
| 8ヶ月分 | 約8% |
| 敷金0円(0ヶ月) | 約8% |
全体の平均は7.4ヶ月分、中央値は7ヶ月分。そして最も多い設定は12ヶ月分でした。「6〜12ヶ月分」という相場観は実データでも裏付けられており、特に大型・ハイグレードのビルほど12ヶ月分に寄っていきます。一方で、3ヶ月分以下の区画が約1割、さらに敷金0円の区画も約8%あり、初期費用を抑えたい場合の選択肢は決してゼロではありません。
同じ広さ・同じ賃料水準でも、どのビルを選ぶかで保証金は数百万円単位で変わります。月々の賃料だけを見て候補を絞ると、契約直前に「一時金が用意できない」という事態になりかねません。物件比較の段階から、保証金の月数を必ず確認項目に入れましょう。
実務上は、どちらも「契約時に預け、解約時に精算して返還されるお金」で役割はほぼ同じです。関東では敷金、関西では保証金と呼ぶ傾向がある、オフィスでは保証金という表記が多い、といった呼び方の違いと捉えて差し支えありません。ただし契約書上の名称によって会計処理や償却の扱いが変わる場合があるため、金額と一緒に名称もそのまま控えておくのが安全です。
住宅の敷金が1〜3ヶ月分で済むのに対し、オフィスが6〜12ヶ月分になるのには理由があります。
つまり保証金の月数は、貸主から見た「万一のときの備え」の厚さです。ビルのグレードが高いほど原状回復の水準も高くなるため、保証金の月数も比例して増えていきます。
保証金で見落とされがちなのが「償却」(敷引とも呼ばれます)です。償却とは、預けた保証金のうち一定額を、解約時に返還しないという契約上の取り決めのこと。「保証金は12ヶ月分、うち2ヶ月分は償却」といった形で契約書に記載されます。cocosyに掲載中の募集区画では、約3件に1件(33%)に償却の定めがありました(2026年8月時点)。決して珍しい条件ではなく、誰にでも当たり得る話です。
償却分は戻ってこない前提のお金なので、実質的には礼金に近い性格を持ちます。「保証金は返ってくるから実質負担ゼロ」と考えて資金計画を立てると、償却の分だけ狂うことになります。
なお、支払った保証金や償却分を経理でどう処理するかは、敷金(保証金)の償却の仕訳・勘定科目を解説した記事で具体的な仕訳例つきで説明しています。経理担当の方はあわせてご覧ください。
保証金の月数は、契約書に判を押したあとから動かすのはほぼ不可能です。交渉の余地があるのは、申込〜契約条件のすり合わせの段階だけ。空室期間が長い区画や、複数フロアをまとめて借りる場合などは、月数の相談に応じてもらえることがあります。ただし保証金は貸主にとってのリスクの備えなので、減額の代わりに賃料や他の条件で調整を求められるのが普通です。総額でどちらが得かを冷静に比べましょう。
保証金そのものが下がらなくても、入居後の一定期間の賃料が無料になるフリーレントを引き出せれば、移転期の資金繰りは大きく変わります。二重家賃の期間を吸収できるためです。交渉の条件や通りやすいケースはフリーレントの相場と交渉のコツを解説した記事にまとめています。
移転の初期費用は保証金のほかに、礼金・仲介手数料・内装工事費・引越し費用などが積み上がります。保証金の月数が少ない物件でも、他の項目が重ければ総額では逆転することもあります。項目の全体像はオフィスの初期費用と勘定科目の一覧記事で確認できます。
保証金は解約時に、償却分と原状回復費用を差し引いた残額が返還されます。原状回復の費用水準が高いビルでは、想定より戻りが少なくなることも。退去時の費用感はオフィスの原状回復費用の相場を解説した記事を参考に、入居時点から「出口」までを見込んでおくと資金計画が崩れません。
オフィスの保証金・敷金の相場は賃料の6〜12ヶ月分。中小規模のビルなら3〜6ヶ月分に収まることもあり、大型・ハイグレードビルでは12ヶ月分も珍しくありません。そして契約書に償却(敷引)の定めがあれば、その分は戻ってきません。
物件を比較するときは「賃料」だけでなく、「保証金は何ヶ月分か」「償却はあるか」「返還はいつか」の3点をセットで確認する。これだけで、契約直前の資金ショートや退去時の「思ったより戻らない」を防げます。
Q. 保証金なしで借りられるオフィスはありますか?
A. あります。cocosyに掲載中の募集区画では、約8%が敷金0円の条件でした(2026年8月時点)。まとまった一時金を抑えたい場合は、敷金0円や月数が少なめの区画に加えて、内装が整っていて工事費を抑えられるセットアップ・居抜きの区画を候補に入れる方法もあります。
Q. 保証金はいつ戻ってきますか?
A. 解約して物件を明け渡したあと、原状回復費用などを精算したうえで返還されます。契約書では明け渡しから3〜6ヶ月後と定められていることが多く、すぐには戻らない前提で資金計画を立てるのが安全です。
Q. 償却がある契約と、償却なしで保証金が多い契約はどちらが得ですか?
A. 在籍年数によります。償却は入居期間にかかわらず引かれるため、短期で退去する可能性があるなら償却なしのほうが有利なことが多いです。長期入居なら、預け入れ総額が少ない契約のほうが資金効率は良くなります。
保証金の条件は、契約前に確認するのが一番の対策です
cocosyなら気になった区画について、オーナーへ直接質問できます。
登録・利用は無料。仲介手数料も大幅に削減できます。