cocosy

オフィスノウハウ

人材紹介業(有料職業紹介)を始めるオフィスの要件|個室は必要?

人材紹介業(有料職業紹介)を始めるオフィスの要件|個室は必要?

人材紹介業(有料職業紹介事業)を始めるとき、多くの方が最初につまずくのがオフィスの要件です。「完全個室じゃないと免許が取れないらしい」「20㎡以上必要と聞いた」——こうした情報が飛び交っていますが、実は現在の基準はもう少し柔軟です。

この記事では、有料職業紹介の免許申請で求められるオフィスの要件を、「個室は必要か」「広さの基準はあるか」「レンタルオフィスでも取れるか」の3つの疑問を軸に整理します。

※本記事は厚生労働省・都道府県労働局の公開資料(職業紹介事業パンフレット・許可要件の概要等)をもとにした整理です。要件の最終的な判断は、管轄の都道府県労働局の審査・実地調査で行われます。申請前に必ず労働局へ確認してください。

面談に使えるモダンでシンプルな会議室

「完全個室が必須」ではない——基準の本質はプライバシー保護

有料職業紹介の免許申請でよく誤解されるのが「面談用の完全個室が必ず必要」という点です。現在の基準の本質は、次の一点に集約されます。

「求職者・求人者のプライバシーを保護できる構造であること」

つまり、面談の内容が周囲に見聞きされない状態をつくれるかどうかが問われます。完全個室はそのための手段のひとつであって、唯一の正解ではありません。

要件を満たす3つのパターン

プライバシー保護の要件は、次のいずれかの形で満たせるとされています。

  1. 個室を設置する——面談室を完全個室として用意する、いちばんわかりやすい形
  2. パーティションで区切る——高さのあるパーティションで面談スペースを区切り、周囲から面談内容が見聞きされにくい状態にする
  3. 面談時のみ別室を確保する——貸会議室などを利用し、「求職者同士」「求職者と求人者」が同室にならない運用を整備する。予約制の貸会議室でも認められるケースがあります
個室の会議室。プライバシーを保って面談できる空間のイメージ

③が認められるケースがあることで、コンパクトなオフィスからのスタートでも道が開けます。ただし、どのパターンで通るかは事業計画や運用体制もあわせて判断されるため、この点こそ事前に労働局へ相談しておきたいところです。

広さの基準は?「20㎡以上」は必須ではなくなった

もうひとつの有名な誤解が「事務所は20㎡以上ないと免許が取れない」というものです。かつては20㎡以上が求められていましたが、2017年の許可基準の見直しで緩和され、現在の基準では次のどちらかを満たせばよいとされています。

  • 事業所において、事業に使用できる面積がおおむね20㎡以上あること
  • または、個室の設置、パーティション等での区分により、プライバシーを保護した対応が可能であること

つまり「20㎡」という目安は選択肢のひとつとして今も基準に残っていますが、プライバシー保護の措置があれば20㎡未満でも許可され得る、というのが正確なところです(出典:厚生労働省「職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―」)。

ただし実務上は、広さの数字より「面談スペース」「執務スペース」「個人情報の保管場所」を実際に確保できるかどうかが見られます。個室の広さやデスクサイズに明確な数値基準はなく、求職者1名と面談担当者1名が向かい合って面談できることが前提です。

実地調査で確認されるポイント

免許申請の過程では、労働局による現地確認があります。見られるのは主に次の項目です。

  • 面談スペース(プライバシーを保護できる構造か)
  • 職業紹介責任者の席
  • 鍵付きキャビネット(個人情報の保管場所)
  • 個人情報の保管方法・パソコンのセキュリティ
  • 社名表示

広さそのものより、「職業紹介事業を適切に行える体制が整っているか」を実物で確認される、と考えるとイメージしやすいはずです。実際、許可申請の添付書類にも「事業所のレイアウト図及び写真(事業所外観・事業所全体・面接場所・施錠できる個人情報管理場所)」が含まれており、面談スペースと施錠保管場所は書類の段階から見られるポイントです。

なお、オフィス以外にも、財産的基礎(基準資産500万円以上×事業所数など)や職業紹介責任者の選任・講習修了といった要件があります。全体像は厚生労働省のマニュアル(記事末尾の参考資料)で確認できます。

レンタルオフィス・シェアオフィスでも許可は取れる?

最近はレンタルオフィスでの取得例も増えています。ただし、契約形態によって取得の難易度が大きく分かれます。

契約形態許可取得の見込み
フリーデスクのみ厳しい
コワーキングスペースのみ厳しい
バーチャルオフィス厳しい
専用個室の契約あり可能性あり
面談室・会議室が利用可能可能性あり
鍵付き保管場所あり可能性あり

目安としては、「専用個室の契約」+「面談に使える会議室」+「鍵付きの保管場所」の3点が揃えば、許可を取得できるケースが一般的です。逆に、住所だけのバーチャルオフィスや、席が固定されないフリーデスクのみの契約では難しいと考えたほうがよいでしょう。

デスクが並ぶレンタルオフィスのワークスペース

なお、シェアオフィスの個室から専用オフィスへの移転を考えるタイミングについては、シェアオフィスから専用オフィスへ移るタイミングと判断基準で詳しく解説しています。

物件探しの段階でチェックしておくこと

人材紹介業を見据えてオフィスを探すなら、内見・検討の段階で次の点を確認しておくと、申請段階での手戻りを防げます。

  • 面談用の個室をつくれるか(またはパーティションで区切れるレイアウトか)
  • ビル内・近隣に面談へ使える会議室があるか
  • 鍵付きキャビネットを置くスペースがあるか
  • 入居後の間仕切り工事が可能か(工事の区分や原状回復の条件)

「この物件で免許要件を満たすレイアウトが組めるか」
cocosyなら気になった区画について、オーナーへ直接質問できます。間仕切りの可否も契約前に確認できます。

更新が新しい順で募集中のオフィスを見る 〉〉

会員登録なしで閲覧できます

まとめ:要件はシンプル、ただし最終確認は労働局へ

有料職業紹介のオフィス要件を整理すると、次のとおりです。

  • 完全個室は必須ではない。本質は「プライバシーを保護できる構造」
  • 個室/パーティション/面談時のみ別室、の3パターンのいずれかで満たせる
  • 広さは「おおむね20㎡以上」か「個室・パーティション等でのプライバシー保護」のどちらかを満たせばよい(2017年の見直しで20㎡は必須ではなくなった)
  • レンタルオフィスでも、専用個室+会議室+鍵付き保管場所が揃えば取得できるケースが一般的

繰り返しになりますが、最終的な可否は管轄の労働局の審査・実地調査で決まります。物件を契約する前に、検討中のオフィスの図面を持って労働局へ事前相談することを強くおすすめします。

参考資料(一次情報):
厚生労働省「職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―」
東京労働局「有料無料職業紹介関係」(手続き・様式・説明会の案内)

人材紹介業に対応できるオフィスをお探しの方へ
希望条件を登録しておくと、オーナーから直接オファーが届きます。

登録・利用は無料。仲介手数料も大幅削減できます。

ライター:小堀恵一(株式会社Lexi/オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営)

この記事を書いた人

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)

オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営

東京都立大学経済学部卒業。2009年よりオフィス移転の現場に携わり、リクルート・エムスリー・DeNAなど大手企業の移転を担当。2018年に株式会社Lexiを設立し、不動産デベロッパー向けの物件紹介VR事業を大手各社に導入・定着させたのち事業を売却。物件情報の流通の非効率と情報の非対称性を解消するため、2022年からオフィス移転プラットフォーム「cocosy」を立ち上げ、運営中。3人の子どもの父。

X(旧Twitter):@kobo_lexi