📅 2026年6月版 2026.6.25|ライター:cocosy運営局(オフィス物件プラットフォーム「cocosy」運営)
「オーナーから賃料値上げの通知が届いた」「契約更新のタイミングで突然○万円アップと言われた」——そんな経験をされている総務・経営担当者の方は少なくありません。特に2023年以降、東京都心部ではオフィス需要の回復と物価上昇を背景に、賃料値上げの打診が増えています。しかし、値上げを要求されたからといって、すぐに受け入れる必要はありません。この記事では、賃料値上げへの対処法を借地借家法の根拠をふまえてステップごとに解説します。まず知識を整理し、その上で相場と比較してから判断するのが、最も合理的なアプローチです。
オフィス(事業用建物)の賃貸借契約にも、住宅と同じく借地借家法第32条(借賃増減請求権)が適用されます。この条文では、租税負担や物件価格の変動、近隣相場との比較などで賃料が不相当になったとき、当事者は将来に向かって賃料の増減を「請求」できると定められています。ポイントは、増減額は最終的に当事者の協議で決めるのが原則で、オーナーが一方的に金額を確定させて強制することはできない、という点です。
テナントが値上げに合意しない場合、双方が合意できるまでは次のプロセスに進みます。重要なのは、協議が調わない間、テナントは「自分が相当と考える額」(多くは従来賃料)を支払えばよいとされている点です(借地借家法32条2項)。後日、調停や裁判で適正額が確定したら、その差額を利息とともに精算する流れになります。
実務上、多くのケースは任意交渉か調停の段階で決着します。オーナー側も空室リスクを抱えているため、テナントが退去しないよう一定の妥協点を探ることがほとんどです。
交渉の前に、まず現在の賃料が「高いのか」を確認。
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感情的に拒否する前に、まず現在の賃料と周辺相場を比較することが最優先です。確認すべき情報は次の3点です。
相場より明らかに安い場合は、値上げに一定の合理性があります。一方で相場並み、または相場より高い場合は交渉の余地が十分にあります。賃料が適正かどうかの判断手順は「オフィス賃料が適正かを判断する3つの方法」でも詳しく解説しています。
オーナー側に「なぜ値上げが必要なのか」を書面で確認しましょう。主な値上げ理由には次のようなものがあります。
根拠が明確であれば、その数字をもとに「どこまでが合理的か」を議論できます。根拠が曖昧な場合は、「具体的なデータを提示してください」と求めることが交渉の第一歩です。
「値上げはお断りします」だけでは交渉になりません。データを根拠にした対案を用意することで、建設的な協議が生まれます。
交渉が長引く、または折り合いがつかない場合、移転という選択肢を持っておくことがテナント側の最大の切り札になります。オーナーにとって最も避けたいのは「空室」です。テナントが「条件次第では移転を検討している」という姿勢を示すだけで、交渉のトーンが変わることは珍しくありません。
この「移転カード」が有効なのは、実際に移転できる物件の目処がついているときです。交渉と並行して移転先の相場を把握しておくことで、交渉に厚みが生まれます。移転と交渉のどちらが得かを比較したい方は「オフィス移転 vs 賃料交渉、どちらが得か」もあわせてご覧ください。
交渉の前にまず相場を把握したい方には、cocosy(ココシー)が便利です。cocosyは約5万件の物件情報をもとに、エリア別・路線別・規模別の賃料水準を確認できる商業用不動産プラットフォームです。
さらに、万が一移転を検討する場合にも、cocosyはオーナーと直接つながる仕組みのため、通常は賃料1ヶ月分かかる仲介手数料が無料もしくは大幅に抑えられます。希望条件を登録しておけば、条件に合う物件がオーナーから直接届くので、交渉カードの準備として「移転先の目処」を無理なく持っておけます。
「移転カード」の準備に。
希望条件を登録すると、条件に合う物件がオーナーから直接届きます(テナント登録・利用は無料)。
オフィスの賃料値上げは拒否できますか?
オーナーが一方的に値上げを強制することはできません。借地借家法32条により賃料の増減は当事者の協議で決めるのが原則で、合意しない限り直ちに値上げ後の額を支払う義務はありません。協議が調わない間は「自分が相当と考える額」を支払えばよく、最終的に調停・裁判で適正額が確定したら差額を精算します。
借地借家法32条はオフィス(事業用)にも適用されますか?
適用されます。借地借家法は住宅・事業用を問わず建物の賃貸借に適用されるため、オフィスや店舗の賃料増減にも32条が及びます。ただし「一定期間は賃料を増額しない」旨の特約がある場合は、その期間中は特約が優先されます。
値上げ交渉を有利に進めるコツはありますか?
感情論ではなくデータで話すことが基本です。周辺相場の坪単価・空室率を把握し、現在の賃料が相場並み・相場以上であることを示せば据え置きを求めやすくなります。さらに移転先の目処を持っておくと「条件次第では移転も検討」という姿勢を示せ、交渉に厚みが出ます。
移転と賃料交渉、どちらを選ぶべきですか?
現賃料が相場並みで、移転コスト(内装・引越し・原状回復)が大きい場合は交渉での据え置きが有利なことが多いです。一方、相場より明らかに高い、または手狭・立地に不満があるなら移転が合理的です。いずれにせよ、まず周辺相場を把握し、移転コストと比較してから判断するのがおすすめです。
賃料値上げを打診されても、すぐに受け入れる必要はありません。借地借家法32条のもとで増減は協議が原則であることを押さえ、まず相場と比較し、根拠を確認し、データを根拠に対案を出す——この順序で進めるのが合理的です。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 値上げ要求が届いた | まず周辺相場と比較する |
| 相場より高い・相場並み | データを根拠に据え置き交渉 |
| 交渉が難しい | 移転先の相場も並行して確認 |
| 折り合いがつかない | 移転を選択肢に入れる |
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律判断を保証するものではありません。実際の交渉・係争にあたっては、契約内容を確認のうえ弁護士等の専門家にご相談ください。