移転日が決まった。引っ越し業者も什器も手配した。ところが移転の1ヶ月前になって、ネット回線の業者からこう言われる——「開通は2ヶ月後です」。
オフィス移転の段取りで、いちばん見落とされやすいのがインターネット回線の手配です。この記事では、回線工事にかかる期間の実態と、移転前にどの順番で手配すべきか、そしてビル側に確認しておきたいMDF室・工事区分のポイントを解説します。

オフィスの回線工事は、申し込んですぐ工事日が決まるわけではありません。実際の流れでは、まず業者による現地調査があり、それが終わらないと開通の手配が進められません。
そして現場でよく起きるのが、その現地調査の予約自体が「1ヶ月先」になるケースです。現地調査に1ヶ月、そこから工事・開通までさらに数週間〜1ヶ月。トータルで2ヶ月程度かかることは珍しくありません。
10〜30坪のコンパクトなオフィスだと「内装なんてすぐ終わる」と思われがちですが、実際には内装期間が1ヶ月程度かかります。その最大の理由がこのネット回線です。壁や床の工事より、「ネットがいつ開通するか」がスケジュールを決めることが多いのです。
回線手配の基本的な流れと期間の目安は次のとおりです。
| ステップ | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 回線・業者の選定 | 光回線の種類、プロバイダ、社内LANの構成を決める | 1〜2週間 |
| 2. 申し込み・現地調査の予約 | ビルの設備状況を業者が確認する日程を押さえる | 予約が1ヶ月先になることも |
| 3. 現地調査 | MDF室・配管の空き・引き込みルートを確認 | 当日〜数日 |
| 4. 回線工事 | ビルへの引き込み・区画内への配線 | 調査後、数週間〜1ヶ月 |
| 5. 開通・社内LAN設定 | ルーター設置、Wi-Fi・複合機などの接続 | 数日 |

ポイントは、ステップ2の「現地調査の予約」が全体のボトルネックになりやすいことです。つまり、移転先の契約が済んだら(可能なら契約と並行して)、真っ先に回線の申し込みを動かすのが正解です。
MDF(主配線盤)は、ビルの外から引き込まれた通信回線を各フロア・各区画へ分配する設備で、多くのビルでは専用のMDF室に収められています。回線工事では必ずここを経由するため、MDF室の状況次第で工事の可否や期間が変わります。MDFの基礎知識はMDFとは?オフィス担当者が知っておくべき通信機器の基礎知識で詳しく解説しています。

内見や契約前の段階で、ビル側(オーナー・管理会社)に確認しておきたいのは次の点です。
どうしても開通が入居日に間に合わない場合は、モバイルルーターやホームルーターを一時的に使う方法があります。ただし、あくまでつなぎの手段です。
暫定運用を前提にするより、そもそも間に合うように早く動くのが最善です。
回線の引き込み状況や配管の空きは、物件によって全部違います
cocosyなら気になった区画について、オーナーへ直接質問できます。契約前に確認しておきましょう。
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移転全体の段取りはオフィス移転のスケジュール&タスク完全ガイドにまとめています。あわせてご覧ください。
ライター:小堀恵一(株式会社Lexi/オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営)
この記事を書いた人
小堀恵一(株式会社Lexi 代表取締役)
オフィス移転プラットフォーム「cocosy」運営
東京都立大学経済学部卒業。2009年よりオフィス移転の現場に携わり、リクルート・エムスリー・DeNAなど大手企業の移転を担当。2018年に株式会社Lexiを設立し、不動産デベロッパー向けの物件紹介VR事業を大手各社に導入・定着させたのち事業を売却。物件情報の流通の非効率と情報の非対称性を解消するため、2022年からオフィス移転プラットフォーム「cocosy」を立ち上げ、運営中。3人の子どもの父。